2001 Fiscal Year Annual Research Report
新たな作用機序を持つ心房細動治療薬開発のための基礎的研究:HCNチャネル遮断薬
Project/Area Number |
13672382
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
植村 展子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00009648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 武彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (00292673)
中谷 晴昭 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60113594)
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Keywords | 心房細動 / 肺静脈系異所性自動能 / HCN4 / Ih / zatebradine / bepridil / amiodarone |
Research Abstract |
心房細動の罹患率は全人口の0.1-0.9%と推定されているが、社会の老齢化が進むにつれて、年々その罹患率は上昇している。現在この治療に用いられている抗不整脈薬には心室内伝導障害・Torsades de pointes誘発等の催不整脈作用があり、より副作用の少ない安全な心房細動の治療薬の創生が必要である。最近、心房細動のリエントリーの引き金として、約90%の症例で肺静脈系の異所性自動能の亢進が原因になっている。心筋自動能発現には過分極誘発内向き電流(I_hまたはI_l)が重要な働きをしており、このI_hが関与しているといわれているHCN(hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated)チャネルがクローニングされている。そこで、この電流を通過させるHCN4チャネルに対する抗体で肺静脈左心房境界部の免疫組織染色を行い、その部位での細胞内電位を記録し、その電気的性質を検討すると共に、HCN4チャネルを安定的に発現させたHEK293細胞においてこの電流に対する各種抗不整脈薬の作用を検討した。 1)HEK293細胞にHCN4チャネルを安定的に発現させた。HEK293細胞を用いて、パッチクランプ法により、過分極誘発内向き電流(I_h)を記録した。この電流は細胞内cAMP増加により増強し、Cs^+により著しく抑制した。 2)HCN4抗体を用いて免疫組織染色を行った所、肺静脈左心房境界部にHCN4チャネルが存在することが確認された。 3)ラット左心房・肺静脈標本を摘出し、微小電極法で細胞内電位を記録した。この電気的自動能は交感神経のβ受容体を刺激して細胞内cAMPを増加させるisoproterenolの投与により亢進し、I_fを抑制するといわれているzatebradine投与により減弱した。 4)これらの結果から、ラット肺静脈左心房境界部から記録される電気的自動能の発現には過分極誘発内向き電流が関与する事が示唆された。 5)再構築したHCN4チャネル電流は抗不整脈薬であるamiodarone、bepridilでも抑制された。 以上のことより、HCN4チャネル抑制薬は心房細動誘発を予防する可能性がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Suzuki, M.: "Functional roles of cardiac and vascular ATP-sensitive potassium channels clarified by Kir6.2-knockout mice"Circ. Res.. 88. 570-577 (2001)
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[Publications] Kobayashi, S. et al.: "Inhibitory effect of bepridil on hKv1.5 channel current: comparison with amiodarone and E-4031"Eur. J. Pharmacol.. 430. 149-157 (2001)
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[Publications] Furukawa, T. et al.: "Modulation of C1 channel by cell cycle clock"Kidney Int.. 60. 405 (2001)
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[Publications] Ishida, H. et al.: "Opening of mitochondrial K_<ATP> channels attenuates the ouabain-induced calcium overload in mitochondria"Circ. Res.. 89・10. 856-858 (2001)
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[Publications] Tanito, Y. et al.: "Interaction of edrophonium with muscarinic acetylcholine M_2 and M_3 receptors"Anesthesiology. 94・5. 804-814 (2001)
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[Publications] Suzuki, T. et al.: "Beneficial effects of nitric oxide synthase inhibition on the recovery of neurological function after spinal cord injury in rats"Naunyn-Schmiedeberg's Arch. Pharmacol. 363. 94-100 (2001)