2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672384
|
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
橋本 征也 富山医科薬科大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90228429)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 雅登 富山医科薬科大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20324056)
合葉 哲也 富山医科薬科大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (00231754)
|
Keywords | バイオアベイラビリティ / CYP3A4 / トランスポータ / P-糖蛋白質 / 腎障害 / 小腸 / アジマリン / CYP2D6 |
Research Abstract |
常用量の薬物を服用した場合にも、一部の患者で重篤な副作用が発現する。薬物動態学の進歩によって、この主たる原因は薬物代謝の個体間変動、あるいは薬物相互作用による血中濃度の顕著な上昇であることが明らかになってきた。特に肝代謝クリアランスが大きい薬物については、経口投与時に顕著な初回通過効果を受けるため、バイオアベイラビリティに大きな変動が認められる。一方、小腸にはチトクロームP450(CYP)3Aサブファミリーが存在するが、酵素活性は肝臓に比べ一桁以上低いため、薬物代謝に対する寄与は小さいと考えられてきた。また、小腸には薬物を排出するトランスポータ(P-糖蛋白質など)が存在するが、膜透過性が高い薬物については、消化管吸収が不完全になることでバイオアベイラビリティが低下するとは考え難い。しかし、小腸のトランスポータが、薬物の小腸上皮細胞における滞留時間を延長させるならば、小腸における薬物代謝が顕著に増大する可能性がある。申請者らは、CYP3Aサブファミリーで代謝される免疫抑制剤タクロリムスの体内動態を検討した結果、経口投与時の初回通過効果に対しては、肝臓のみならず小腸における代謝が大きく関与し、薬物動態の個体差の極めて重要な原因となっていることを見出した。さらに、タクロリムスや抗不整脈薬アジマリン、あるいはβ遮断薬プロプラノロールのように肝代謝が飽和性を示す薬剤では、腎機能低下時の小腸における吸収・代謝速度の変動が、肝初回通過効果に対しても大きく影響を及ぼすとの知見を得ている。これらの知見は、薬剤の小腸からの吸収率、あるいは肝臓における初回通過代謝を個別に評価するのみでは、経口投与時のバイオアベイラビリティやそれに及ぼす病態や薬物間相互作用の予測が難しいことを示唆する点で極めて重要である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Matsuo, Yumiko et al.: "Transport of levofloxacin in the OK kidney epithelial cell line : interaction with p-aminohipurate transport"Pharm. Res.. 18・5. 573-578 (2001)
-
[Publications] Yukiya, Hashimoto: "Effect of experimental renal dysfunction on bioavailability of ajimaline in rats"J. Pharm. Pharmacol.. 53・6. 805-813 (2001)