2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヨード造影剤による肺障害におけるNO及びヒスタミンの関与と予防法の確立
Project/Area Number |
13672390
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 了三 九州大学, 医学部・附属病院, 教授 (90112325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 泰文 福岡大学, 薬学部, 教授 (70136513)
本田 浩 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90145433)
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Keywords | ヨード造影剤 / 肺障害 / ヒスタミン / 肥満細胞 / 抗ヒスタミン薬 |
Research Abstract |
ヨード造影剤による肺障害に対するヒスタミンの関与を明確にすることを目的に以下の検討を行った。 1.造影剤によるラット肺浮腫における肥満細胞由来ヒスタミンの関与 造影剤投与により肺組織のヒスタミン含量は有意に減少し、また肺組織ヒスタミン含量と血管透過性亢進との間には負の相関が認められた。コンパンド48/80前処置により、肺組織ヒスタミン含量は約90%減少するとともに肺での血管透過性亢進作用は顕著に減弱した。一方、造影剤による血管透過性亢進作用は、肥満細胞安定化剤クロモグリク酸Naにより抑制された。これらの結果より肺浮腫発現における肺肥満細胞由来ヒスタミンの関与を実証することができた。さらに、血管透過性亢進作用はヒスタミンH_1受容体拮抗薬のメピラミンおよびジフェンヒドラミンにより用量依存的に抑制され、H_2受容体拮抗薬のファモチジンおよびラニチジンの高用量によっても有意に拮抗され、ジフェンヒドラミンおよびファモチジンの併用により顕著に抑制された。以上の結果から、造影剤はラット肺における肥満細胞の脱顆粒を引き起こし、ヒスタミンを遊離することによって血管透過性亢進作用を発現すること、また、この作用にはH_1受容体のみならずH_2受容体も関与することを明らかにすることができた。 2.造影剤によるラット肺肥満細胞からのヒスタミン遊離機構に関する研究 種々の造影剤でのラット肺肥満細胞からのヒスタミン遊離について比較を行い、さらにヒスタミン遊離の機序を解明した。種々の造影剤で、ラット肺肥満細胞からのヒスタミン遊離作用が濃度依存的に認められ、その作用はイオン性造影剤のほうが強いことが判明した。マンニトールおよびCa^<2+>キレート剤を用いた検討により、造影剤による肥満細胞からのヒスタミン遊離は、浸透圧に依存せず、細胞内Ca^<2+>が関与していることを明らかにすることができた。
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