2001 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の流れ刺激受容応答におけるリゾホスファチジン酸の役割
Project/Area Number |
13672400
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
大幡 久之 昭和大学, 薬学部, 助教授 (00119166)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅幸 昭和大学, 薬学部, 助手 (90307067)
|
Keywords | 血管内皮細胞 / 機械受容応答 / リゾホスファチジン酸 / 機械受容チャネル / 細胞内Ca^<2+>イオン濃度 / 流れ刺激 |
Research Abstract |
カルシウム蛍光指示薬を取り込ませた培養ウシ大動脈内皮細胞に対して、リゾホスファチジン酸(LPA)存在下に流れ刺激を与え、共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて細胞内カルシウムイオン濃度([Ca^<2+>]i)変化の観察を行った。Ca^<2+>応答は、LPA濃度、刺激強度依存性を示した。[Ca^<2+>]i上昇様式は、局所的な部位を[Ca^<2+>]i上昇開始部位とした非常に急激なもので、機械受容応答に特異的な現象であった。この反応は、培養ヒト臍帯動脈内皮細胞でも観察され、種差に依らないことを確認した。[Ca^<2+>]i上昇は、機械受容チャネル阻害剤であるガドリニウム(Gd^<3+>)感受性のチャネルを介した細胞外からのCa^<2+>流入が主に寄与していた。またこのチャネルは、Gキナーゼ(PKG)により負の制御を受ける性質を有していた。LPAと類似の構造・生理活性を有するスフィンゴシン一リン酸は流れ刺激に対応したCa^<2+>応答を示さず、またLPA構造内の側鎖脂肪酸分子種によって反応性に差が生じた。流れ刺激によるCa^<2+>応答の促進作用は、LPA特異的な作用であり、LPAの作用部位がLPA構造特異性を有する部位であることが示唆された。LPA受容体の発現していない細胞においてもLPAの促進作用が認められたことから、既知のLPA受容体の関与は低いことが示唆された。これらの結果から、LPAは、内皮細胞の流れ刺激感知機構の感受性を左右する内因性物質であることが示唆された。LPAが促進する流れ刺激感知機構には、Gd^<3+>感受性で、PKGにより負の制御を受けるチャネルが関与していた。LPAの促進作用は、未知のLPA受容体、もしくは同様のLPA特異性を有する作用部位を介するものであることが示唆された。現在、より生理的な条件下でのLPAの作用を明らかにする目的で、新鮮な血管組織標本を用いた検討を継続中である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Miyazaki, Takuro et al.: "Spontaneous and flow-induced Ca^<2+> transients in retracted regions in endothelial cells"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 281・1. 172-179 (2001)
-
[Publications] Ohata, Hisayuki et al.: "Visualization of elementary mechanosensitive Ca^<2+>-influx events, Ca^<2+> spots, in bovine lens epithelial cells"J. Physiol (Lond). 532・1. 31-42 (2001)
-
[Publications] Ohata, Hisayuki et al.: "Lysophosphatidic acid positively regulates the fluid flow-induced local Ca^<2+>-influx in bovine aortic endothelial cells"Circ. Res.. 88・9. 925-932 (2001)
-
[Publications] Ohata, Hisayuki et al.: "Physiological and pharmacological role of lysophosphatidic acid as modulator in mechanotransduction"Jpn. J. Pharmacol.. 87・3. 171-176 (2001)