2001 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性ショック対策―血管透過性トレランスに関する基礎的研究―
Project/Area Number |
13672401
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
藤井 惠美子 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (20075493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 かをる 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50075496)
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Keywords | エンドトキシン / 一酸化窒素(NO) / 細静脈血管透過性亢進作用 / 誘導型NO合成酵素(iNOS) / iNOS欠損マウス / プロスタグランジン / エンドトキシントレランス / 敗血症性ショック |
Research Abstract |
〔目的〕敗血症時には過剰な一酸化窒素(NO)産生が低血糖やショックの誘因となり、エンドトキシンショックでは末梢血管の透過性が亢進すると考えられている。エンドトキシン(LPS、グラム陰性菌由来)は、血管透過性を亢進し、その作用には誘導型NO合成酵素(iNOS)により産生されるNO、プロスタグランジン、サイトカイン(TNF-α、IL-1α)が関与することを明らかにした。一方、LPS前処置後LPSによる血管透過性が抑制される(トレランス)が、そのトレランス発現には内因性コルチコステロンの上昇が重要で、NOやサイトカインも関与することを明らかにした。本研究では、iNOS欠損マウスでLPSによる血管透過性亢進へのiNOS由来のNOの直接の関与を証明し、LPSトレランスの性質をより明らかにするために、iNOS欠損マウスでのLPSによるLPSトレランスの発現の有無を調べ、トレランスに関与するメディエーターを決定することにより、敗血症性ショックを予防する可能性がある薬物を探索することを目的とする。 〔成績〕1)iNOS欠損マウスのLPSによる色素漏出量は、用量依存的に増加したが、対照マウスに比し、約40%低値であった。2)iNOS欠損マウスにおけるLPSの色素漏出量増加作用は、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害薬のインドメタシン、NS-398(COX-2 選択的)、ジフェンヒドラミン、抗TNF-α抗体で抑制されたが、NOS阻害薬のL-NAMEやアミノグアニジン(iNOS 選択的)では抑制されなかった。3)iNOS欠損マウスでは、LPS前処置後のLPSトレランスは発現しなかった。LPS前処置後はiNOS欠損マウス、対照マウス共に血中コルチコステロン量は増加したが、血中NO_2/NO_3(NO 代謝物)は、対照マウスでのみ増加した。 〔結語〕1)LPSによる血管透過性亢進作用に、iNOS由来のNOが直接関与すること。2)LPSによるLPSトレランスの発現には、iNOS誘導によるNOが関与することが明らかとなった。以上の結果、敗血症時のショックの予防にNO関連物質が応用可能であると考えられる。
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Research Products
(1 results)