2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい治療薬開発の基盤としての有痛性糖尿病性神経障害の発症機序解明
Project/Area Number |
13672403
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
亀井 淳三 星薬科大学, 薬学部, 教授 (40161236)
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Keywords | Diabetes / Painful neuropathy / NMDA / MK-801 / Spinal |
Research Abstract |
オピオイドμ受容体とNMDA受容体の相互作用が報告されている。本研究では、μ受容体作動薬のDAMGOとNMDA受容体拮抗薬のMK-801をそれぞれ、脳室内あるいは髄腔内投与し、μ受容体誘発抗侵害効果に対するNMDA受容体の関与を、正常および糖尿病マウスにおいて比較検討した。対照群および糖尿病マウスのDAMGO脳室内(i.c.v.)投与による抗侵害効果はMK-801(0.1-1μg)のi.c.v.投与により、用量依存的に抑制された。また、MK-801(0.03-0.3μg)の髄腔内(i.t.)投与により、対照群マウスのDAMGOのi.c.v投与による抗侵害効果は用量依存的に抑制されたが、糖尿病マウスにおける抗侵害効果は用量依存的に増強した。一方、DAMGOのi.t.投与による抗侵害効果はMK-801のi.t.投与により、対照群および糖尿病マウスともに影響を受けなかった。上位中枢からの下降性抑制系を介したμ受容体作動薬による抗侵害効果の発現には、上位中枢および脊髄の両部位においてNMDA受容体が関与していることが示唆された。しかし、糖尿病マウスにおいては、脊髄におけるNMDA受容体は抑制的に作用しており、その変化が上位中枢でのμ受容体を介した抗侵害効果の減弱に一部関与していることが考えられる。一方、脊髄でのμ受容体を介した抗侵害効果に対して、脊髄でのNMDA受容体は関与しないことが示唆された。これらのことから、糖尿病マウスにおける有痛性神経障害にも、脊髄でのNMDA受容体の機能変化が一部関与している可能性が示唆された。
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