2001 Fiscal Year Annual Research Report
LDH結合性免疫グロブリン(M-蛋白例)の構造解析と結合メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
13672416
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤田 清貴 信州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90313866)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻林 郁之介 自治医科大学, 大宮医療センター・総合医学講座I, 教授 (80049056)
亀子 文子 信州大学, 医療技術短期大学部, 助手 (60126670)
|
Keywords | 乳酸脱水素酵素 / 免疫グロブリン / LDH結合性免疫グロブリン / Bence Jones蛋白 / 構造異常 / 結合メカニズム |
Research Abstract |
乳酸脱水素酵素(LDH,E.C.1.1.1.27)と結合する免疫グロブリン(M-蛋白例)について,その構造と結合メカニズムを明らかにするため,今年度は以下の実験を行った。 1.患者尿を透析濃縮後,Cibacron Blue 3GA affinity chromatography, DEAE-Sephacelイオン交換クロマトグラフィー,Sephacryl S-300 superfineカラムゲル濾過法により,λ型Bence Jones蛋白(BJP)を精製した。さらに,赤血球溶血液と肝ホモジネート混合試料から5'AMP affinity chromatography, DEAE-Sephacelイオン交換クロマトグラフィーによりLDH1〜5までの各アイソザイムを精製し再結合実験を行った。その結果,患者BJPはmonomer, dimerともLDH3,4,5に対し明らかに強い親和性を示すことが確認された。しかしながら,同時に精製を試みた患者IgG型M-蛋白では明確な再結合が証明されなかったため,他の方法による再結合実験を行い明らかにする予定である。 2.患者精製BJPを用いてWestern blotting分析を行い,分子量からの構造異常の推測を行った。その結果,2-mercaptoethanol(2-ME)存在下では,分子量約28,000のバンドが1本のみであったが,2-ME非存在下では,分子量約44,000〜60,000までの間に明瞭なバンドが3本出現し構造異常の存在が強く示唆された。 通常,免疫グロブリンのH鎖とL鎖のvariable domainは抗体分子の抗原結合特異性に深く関与しているが,L鎖単独では抗原結合活性はないか,非常に低いといわれており,本例のBJP結合例では抗原抗体反応による結合とは到底考え難く,今後さらに2年間にわたり一次構造,二次構造を含めた構造解析などにより,その結合メカニズムを明らかにしたい。
|
-
[Publications] 藤田 清貴: "異型酵素"臨床病理レビュー. 116. 7-15 (2001)
-
[Publications] Goto H, Wakui H, Komatsuda A, Imai H, Miura A B, <Fujita K>___-.: "Simultaneous macroamylasemia and macrolipasemia in a patient with systemic lupus erythematosus in remission"Internal Medicine. 39. 1115-1118 (2000)
-
[Publications] 藤田 清貴: "酵素活性異常の解析-LDを中心として-"臨床病理(臨時増刊特集). 102. 140-149 (1999)
-
[Publications] Fujita K.: "Immunochemical study of immunoglobulins bound to lactate dehydrogenase"Clin Chim Acta. 264. 163-176 (1997)