2001 Fiscal Year Annual Research Report
エンドトキシン病態における薬物の生体膜輸送機能とその生理的役割の解明
Project/Area Number |
13672417
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長谷川 高明 名古屋大学, 医学部, 教授 (80198720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北市 清幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (40301220)
高木 健次 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80126870)
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Keywords | エンドトキシン / 生体膜輸送機構 / トランスポーター / P糖蛋白質 / 血液脳関門 / TNF-α |
Research Abstract |
1.先に我々はマクロライド系抗生物質が多剤耐性がん細胞に発現しているP糖蛋白質をモデュレートすることにより多剤耐性を克服することを明らかにした。本研究では、P糖蛋白質の機能に及ぼすキノロン系抗菌薬の影響についてin vitroおよびin vivoにて検討したところ、キノロン系抗菌薬は抗癌薬P糖蛋白質を過剰に発現している多剤耐性がん細胞外への汲出をし阻害すること、キノロン系抗菌薬の生体膜輸送機構、なかでも胆汁中排泄機構にはMrp2以外にP糖蛋白質トランスポーターが関与していることが明らかになった。 2.肝胆管腔側細胞膜に発現しているP糖蛋白質を介する薬物の輸送系に及ぼすエンドトキシンの影響について、モデル薬物としてキノロン系抗菌薬を用いin vivoにて検討したところ、エンドトキシンはキノロン系抗菌薬のグルクロン酸抱合能には影響を及ぼさないが、そのグルクロン酸抱合体のMrp2を介する胆汁排泄速度を阻害すること、キノロン系抗菌薬のP糖蛋白質を介する胆汁排泄機能を低下させることを明らかにした。 3.エンドトキシン血症病態時におけるP糖蛋白質を介する薬物の腎排泄機構とトランスポーターの機能発現についてin vivoにて検討したところ、エンドトキシン投与6時間後において、P糖蛋白質の遺伝子mdrla mRNAの発現が低下することによってP糖蛋白質の基質であるロダミン123の腎尿細管分泌能が低下した。一方、24時間後においてはmdrlaのmRNAの発現には変化が認められず、P糖蛋白質の基質薬物の尿細管分泌能に変化が認められないことが明らかになった。また、6時間後に観察されたmRNAの発現量の低下には、TNF-αが一部関与していることが明らかになった。 4.薬物の脳内移行および血液脳関門に存在するP糖蛋白質の機能に及ぼすエンドトキシンの影響についてin vivoにて検討したところ、エンドトキシンは高用量で血液脳関門に対する組織形態学的な変化を与えないこと、血液脳関門の物質透過機能に変化を与えないこと、P糖蛋白の機能および発現量にも影響を与えないことが明らかになった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Zhao Y. L.: "Possible involvement of P-glycoprotein on the renal excretion of levofloxacin"Clin Exp Pharmacol Pharmaceu. (in press).
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[Publications] Zhao Y. L.: "Shiga-like Toxin II derived from E. coli O157 : H7 modifies renal handling of levofloxacin in rats"Antimicrob Agents Chemother. (in press).
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[Publications] Ando H.: "Effect of endotoxin on P-glycoprotein-mediated biliary and renal excretion of rhodamine-123 in rats"Antimicrob Agents Chemother. 45. 3462-3467 (2001)
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[Publications] Nadai M.: "Endotoxin impairs bilialy transport of sparofloxacin and its glucuronide in rats"Eur J Pharmacol. 432. 99-105 (2001)
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[Publications] Yoshida N.: "Differential effect of phosphodiesterase inhibitors on IL-13 release from peripheral blood mononuclear cells"Clin Exp Immunol. 126. 384-389 (2001)
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[Publications] Yoshida M.: "Adrenomedullin and proadrenomedullin N-terminal 20 peptide induce histamine release from rat peritoneal mast cell"Regul Peptides. 101. 163-168 (2001)
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[Publications] 北市清幸: "K. pneumoniae由来エンドトキシンによる肝薬物代謝酵素活性低下および一酸化窒素過剰産生に対するサイトカインの関与『エンドトキシン研究4』"医学図書出版株式会社. 125-130 (2001)