2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672429
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高木 康 昭和大学, 医学部, 教授 (30138490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 邦英 昭和大学, 医学部, 教授 (60053980)
福地 邦彦 昭和大学, 医学部, 助教授 (70181287)
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Keywords | APC / 癌抑制遺伝子 / 大腸癌 / カドヘリン / βカテニン |
Research Abstract |
FAP (familial adenomatous polyposis :家族性大腸腺腫症)の原因遺伝子APCは、1991年にヒト第5染色体長腕(5q21-22)から単離された。その後の解析によって、APC遺伝子の変異はFAPのみにとどまらず、非遺伝性の大腸腺腫や腺癌においても観察され、一般の大腸癌の発生への関与が明らかとなってきている。APC蛋白質は細胞質および核に局在する約300kDaの巨大な蛋白質で、β-カテニン、微小管、EB1、hDLG (Drosophilia discs large)と結合する。このうち、APC-β-カテニン複合体形成の阻害が、大腸癌発生の一つの機序である可能性が示唆されている。細胞接着に重要な働きをするカドヘリンの細胞質ドメインにαおよびβ-カテニンが結合している。αとβ-カテニンは細胞接着において、細胞質側の裏打ちを行い、且つアクチンを結合することで、細胞骨格の形成に機能を果たしている。またさらに、β-カテニンはAPCと結合していない状態では、プロテアソームによる分解が抑制されβ-カテニンが蓄積し、転写因子であるTCF/Lefファミリーと結合して核に移行し、特定遺伝子の転写を活性化することで細胞の悪性化をする可能性が示唆されている。 本研究では、昭和大学病院外科で胃癌摘出術を施行された胃癌組織(パラフィン包埋組織、及び凍結組織計20例)を用いてAPCタンパクおよびβ-カテニンの解析を免疫染色により行った。その結果7例(35%)にはβ-カテニンの低下、残りの13例では発現の亢進が認められた。症例の悪性度、転移能との関連を整理して、癌の予後診断に結び付けたい。
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