2001 Fiscal Year Annual Research Report
低ADL高齢患者における高次脳機能活性化に及ぼす腹臥位療法の効果に関する研究
Project/Area Number |
13672444
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小板橋 喜久代 群馬大学, 医学部, 教授 (80100600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有働 尚子 VITA臨床生命学研究所, 所長
柳 奈津子 群馬大学, 医学部, 助手 (00292615)
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Keywords | 腹臥位 / 脳波 / 心拍変動 / 健常高齢者 |
Research Abstract |
初年度に当たる平成13年度は、基礎研究による高次脳機能の活性化について検討するとともに、臨床事例3事例による今後の臨床研究のためのプレテストとして腹臥位療法の効果を検討した。 <基礎研究>1,対象:健常高齢者12名(平均年齢73.5歳、66-84歳)を実験群として、対照群の健常青年16名(平均年齢22.0歳、21-23歳)と比較した。被験者はすべてボランティアであり、研究の主旨に同意の得られた者である。 2,実験手続きと評価指標:仰臥位安静10分間の後に腹臥位10分間持続した。その後再度仰臥位で10分間持続した。各ポジションへの体位変換は自力で行わせ、状態の安定のために次の体位との間に5分間の間を取った。評価指標は、大脳機能の活性化の指標として脳波(以下EEG)の周波数解析からθ波の減衰とβ波の増幅を検討した。心臓自律神経機能への負荷の程度を見るために、心拍変動解析(以下HRV)によりRR間隔とLF/HF比(交感神経機能の活性化)の変化を検討した。EEGは国際電極基準により単極誘導にて、右前頭極(Fp2)及び前頭部(F4)の2カ所から、HRVは右指の指先脈波により採取した。 3,結果:(1)EEGは、両群とも腹臥位中のβ波が有意に増幅したが、実験群の増幅が大きく対照群との群間比較において有意であった。両群ともα波は減衰傾向を示した。(2)HRVは、実験群において腹臥位中に短縮し腹臥位後に有意に延長した。LF/HFは実施前に比べ減少し腹臥位後もその状態が持続した。実験群は対象群よりも変化が大きかった。 4,考察:両群とも腹臥位が刺激となって、大脳機能を活性化することが示された。同時に心臓自律神経機能を刺激し、腹臥位中は心拍数が減り呼吸機能を安定させると同時に、交感神経の緊張を引き起こしていることが示された。青年よりも高齢者に大きな変化が示されたことから、ポジションの変化による生体への刺激は高齢者にとってより大きく作用する可能性がある。 <臨床研究のプレテスト>脳梗塞後のリハビリ開始前の高齢者3事例に腹臥位療法を実施した。健常老人と同様の変化が見られ、腹臥位による大脳機能の活性化が引き起こされる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小板橋喜久代, 他: "腹臥位によって得られる大脳および自律神経機能のゆらぎに関する基礎研究"平成13年度聖路加ライフサイエンスセンター報告書. 375-377 (2002)
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[Publications] 柳奈津子, 他: "腹臥位における生理的反応-健常高齢者の脳波・心拍変動の解析から-"日本看護研究学会雑誌. 24(3). 275 (2001)