2002 Fiscal Year Annual Research Report
低ADL高齢患者における高次脳機能活性化に及ぼす腹臥位療法の効果に関する研究
Project/Area Number |
13672444
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小板橋 喜久代 群馬大学, 医学部, 教授 (80100600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新村 洋未 埼玉県立大学, 看護福祉学部, 助手 (70315703)
小池 弘人 群馬大学, 医学部, 助手 (80334100)
柳 奈津子 群馬大学, 医学部, 助手 (00292615)
有働 尚子 VITA臨床生命学研究所, 所長
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Keywords | 腹臥位 / 脳波 / 心拍変動 / 光トポグラフィー / 脳血流シンチグラフィー / 老年者 |
Research Abstract |
2年次に当たる平成14年度も引き続き、基礎研究と臨床研究を実施した。 <基礎研究>すでに脳波による研究から仰臥位時と比較して、腹臥位時はβ波帯域が有意に増幅し、高次脳機能の活性化の可能性が示唆されたが、さらに生理学的な根拠を得るために、脳血流の変化を検討した。 1)光トポグラフィーによる脳血流の検討:対象は、ボランティアによる健常青年15名(平均年齢23.2歳、女性12名、男性3名)。実験手続きは、仰臥位安静10分間の後に腹臥位10分間、その後再度仰臥位で10分間とした。各ポジションへの体位変換は自力で行わせ、状態の安定のために次の体位との間に5分間の間を取った。測定器具は、日立メディコ社製の光トポグラフィーETG-100を用いた。各ポジションにおける10分間の脳血流を測定し、安静開始時を基準値として、総Hb量、還元Hb量、酸化Hb量の変化を比較した。脳波上のFp2・F4に相当する部位の血流量は、腹臥位時に増加し、重力の影響を受けて脳内血液布置に変化が生じた可能性が示唆された。 2)SPECT(局所脳血流シンチグラフィー)による検討:対象は、ボランティアによる健常成人(55歳女性)1名である。ニューロライト(99mTc-ECD)を用いてSPECTにより脳血流量を測定した。大脳平均血流量は、仰臥位時(46.84ml/100g/min)に比べ腹臥位時(47.21ml/100g/min)であり、全体および部位別にみて変化はなかった。このことから、先の光トポグラフィーの結果は、頭皮上の血流の変化が反映されている可能性を排除できないと思われた。 <臨床研究>特別養護老人ホーム入所者で研究に同意の得られた低ADL高齢者8名(平均年齢74.1歳、男女各4名)を対象に3週間にわたる腹臥位療法を実施し、その間の脳波の変化を検討した。日本光電エレクトロキャップを用いて、開始時を基準値として1週間毎に3回測定した。変化のみられなかったもの測定延べ回数11件のうち、6件はβ波が増幅したが残りは変化なしか、やや減少した。しかし、表情・発語は改善し日中の覚醒時間が増えた。腹臥位による大脳機能の活性化が引き起こされる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 新村洋未, 柳奈津子, 小板橋喜久代, 他: "虚弱高齢者に対する腹臥位療法が大脳・自律神経機能へ及ぼす影響"日本看護研究学会雑誌. 25(3). (2003)
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[Publications] 柳奈津子, 小池弘人, 小板橋喜久代, 有働尚子: "腹臥位が大脳機能におよぼす影響-健常老人と健常成人の比較-"群馬保健学紀要. 23. (2003)
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[Publications] 小板橋喜久代, 柳奈津子, 有働尚子: "腹臥位が高じ脳機能におよぼす影響-脳血流における検討-"平成13年度聖路加ライフサイエンスセンター報告書. (2003)