2003 Fiscal Year Annual Research Report
不妊治療によって多胎児と診断された夫婦へのカウンセリング的介入に関する研究
Project/Area Number |
13672497
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
常盤 洋子 群馬大学, 医学部, 助教授 (10269334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 理廣 群馬大学, 医学部, 講師 (20282402)
高木 剛 群馬大学, 医学部, 講師 (50282398)
大和田 信夫 群馬大学, 医学部, 教授 (90110684)
矢野 恵子 三重大学, 医学部, 助教授 (10174559)
土江田 奈留美 群馬大学, 医学部, 助手 (60334108)
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Keywords | 不妊治療 / 多胎児 / 出産体験 / 母親意識 / 父親意識 / カウンセリング的介入 |
Research Abstract |
多胎妊娠は母子にとって身体的、心理的リスクが高く、育児負担による育児ノイローゼや両親による虐待などの社会的問題も指摘されている。そこで、本研究は、晩婚化、少子化、価値観の多様化等を社会的背景として不妊治療の成果がますます期待されている現状をふまえ、多胎児と診断された夫婦の主体的な健康問題対処能力を高めることをめざして、看護者が行えるカウンセリング的介入の必要性と問題、効果的実践のあり方を検討することを目的とする。 平成15年度は多胎を出産した母親の出産体験の価値づけと母親意識、父親意識の関連を明らかにし、カウンセリング的介入の効果的実践のあり方を検討することを目的とし、不妊治療で妊娠と診断された夫婦2組を対象に半構造化された面接調査を実施した。面接の実施にあたっては、(1)調査の同意が得られる、(2)産褥早期の面接調査に協力が得られる、(3)面接内容をカセットテープレコーダーに録音すること、また、個人が特定されない方法で研究論文に掲載されることに協力が得られる、という3つの条件を設定し、すべての条件を満たしたケースを対象とした。面接調査の時期は、早期産褥期に出産体験と多胎児に対する気持ちについて半構成的面接を行った。 不妊治療を受けて多胎児を出産した妻の出産体験の受け止め方は、不妊期間、不妊治療を受ける動機・不妊の原因、定位家族と生殖家族への家業の引き継ぎの必要性の有無、出産時の夫の対応に対する妻の満足度によって異なることが示唆された。妻は、多胎児を出産したことについて夫から肯定的に評価されることによって、母親意識の形成が促進され、育児への意欲が高まることが示唆された。また、出産後に夫の関心が妻の健康状態や出産による疲労に配慮されず、子どもたちだけに集中する場合は、母親意識の形成が阻害される可能性が高いことが示唆された。さらに、出産後、子どもたちに対する気持ちにおいても、夫婦間において異なる感情を持っていることが明らかにされた。妻は、自分の妊娠・出産体験が夫や家族から肯定的に評価されることと肯定的な自己評価が得られることで育児に積極的になる気持ちが高まる。一方、夫や家族は、妻の出産後の身体的、心理的健康状態よりも子どもたちが誕生したことの喜びと健康な発育を願う気持ちが強い。妻には、妊娠・出産に伴う身体的、心理的ストレスを夫にも理解してほしいと願う気持ちが存在することが明らかにされた。
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