2001 Fiscal Year Annual Research Report
性意識・性行動の規定要因と性非行の危険要因に関する研究
Project/Area Number |
13672504
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
岸田 泰子 島根医科大学, 医学部, 講師 (60294237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 俊則 熊本大学, 医学部, 教授 (30146716)
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Keywords | 性意識 / 性行動 / 性非行 / 性に関する規定要因 |
Research Abstract |
【目的】本研究の目的は,青年期の性意識・性行動の実態と,それらを規定している要因,性非行および望まない妊娠を招くような危険要因を解明し,健全な性アイデンティティの確立と性非行や望まない妊娠を予防する援助のあり方を考察することである。今年度は,それらのうち,青年期の性意識・性行動の実態とパーソナリティ,被養育体験との関連を報告する。 【方法】全国の大学生を対象とし,無記名自記式質問紙調査を実施した。協力の得られた110校(113キャンパス)へ総数33,779の調査票を発送し,各大学担当者から説明の上,返信用封筒とともに調査票を配布し,回収は参加学生個々から郵送していただいた。 【結果および考察】回収率12.7%,有効回答数4,225(男性31.5%,女性68.5%)で,平均年齢20.3±1.8歳だった。性行動の実態は,男女とも約60%が性交経験を有し,初交年齢は男性17.7±1.9歳,女性18.2±1.8歳で男性の方が早かった(t=5.7,p<O.001)。性交経験者のうち,現在複数の性的パートナーがいる者が4.1%あり,リスクの高い集団と考えられた。また男性より女性の方が高い頻度で避妊を実行していると答えた(t=2.0,p<0.05)が,性交経験のある女性で妊娠既往のある者4.7%のうち92.3%は人工妊娠中絶に至っていた。次に性行動を規定する心理的要因としてパーソナリティと被養育体験との関連を調べた。性行動を従属変数とし,Temperament and Character Inventory(TCI)とParental Bonding Instrument(PBI)を説明変数とする重回帰分析の結果,PBIよりもTCIの方が性行動を規定していることがわかった。すなわち性行動には被養育体験よりも気質が関与する可能性が高いという新たな見解を提示している。また家庭環境,社会環境が影響しているのではなく,若者たちが,自分たちの性質に合った環境を選んでいることも考えられた。
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