2002 Fiscal Year Annual Research Report
抑うつ状態で精神科に入院した患者の回復過程における認識
Project/Area Number |
13672510
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Research Institution | Saga Medical School |
Principal Investigator |
山川 裕子 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (00259673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 緑 九州医科大学, 医学部, 教授 (00108763)
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Keywords | 抑うつ状態 / 回復過程 / 認識 / 質的研究 / 主体性 / 看護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、抑うつ状態の患者の回復過程の認議を明らかにすることである。抑うつ状態で精神科に入院療養後退院した患者14名(男性5名、女性9名、平均年齢52.2歳)に対し、倫理的手続きを踏んだ上で半構成的面接をした。データは、1.状態が改善したと感じた拠り所は何か、2.改善に役立った看護援助は何か、の2つの視点で質的帰納的に分析した。 分析の結果、抑うつ状態患者の回復過程を、患者の《主体性》を中心概念とする、私らしさの再形成のプロセスとして明確化した。《主体性》とは、自ら考え・選択・決定し自分で実行する力であった。判断基準は、<行動の変化><症状の変化><抗うつ薬の影響><他者との相互作用>の4つで、判断スキルとして頻繁に用いられたのは<比較><時間>であった。回復過程は、判断基準と判断スキルを用いることにより主体性の高低が特徴づけられた3つの段階、<わからない私><試す・探す私><わかる私>を見出した。 改善に役立つ看護の中心概念は《私に合わせる》であった。<私を見守る><私を尊重する><私に負担をかけない><私ができるために支える>の4つのカテゴリーと<気にかける>から<肯定的評価>迄の14のサブカテゴリーが見られた。《主体性》と対応しており回復段階に合わせた看護が改善に意義があったと認識されていた。 以上のことより、抑うつ状態患者の看護は、患者がどの回復段階であるかを査定し、判断スキルを適宜用いられるような状況設定を行うと共に、患者が改善したと認識している部分に働きかけることが大切であると示唆された。今回、看護に対する患者からのフイードバックを得たことは、困難を感じている看護者の感情体験を支え有用感を高めると思われる。
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Research Products
(1 results)