2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672524
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Research Institution | Aichi Prefectural College of Nursing & Health |
Principal Investigator |
鎌倉 やよい 愛知県立看護大学, 看護学部, 教授 (00177560)
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Keywords | 嚥下 / 呼吸 / 舌骨上筋群表面筋電図 / VF検査 / 同時測定 / 高齢者 / 嚥下性無呼吸時間 |
Research Abstract |
基礎的研究では、若齢者2名(21歳、男性)を被験者として、5mlと10m1水嚥下における舌骨上筋群の表面筋電図と熱センサーによる鼻孔での呼吸をMacLabシステム(ADInstruments)を使用して同時に記録し、加えて、嚥下造影(video fluorography : VF検査)を同時に記録した。各嚥下の前後に「pa」を発声させて、それによる表面筋電図上のアーチファクトとVF画像上の開口を同期の指標として用い、嚥下前の「pa」からの所要時間を測定して比較した。その結果、軟口蓋挙上による鼻咽腔閉鎖後に呼吸軌跡上は呼気が記録され、その後に惹起された喉頭の最大挙上による喉頭閉鎖から下降し終えるまでの期間が嚥下性無呼吸期間に該当した。 高齢者を対象とした基礎研究では、嚥下障害評価尺度(注1)に基づきリスクありと評価された高齢者のうち、同意が得られた11人とリスクなしと評価された高齢者のうち同意が得られた7人を対象として、VF検査を実施した。リスクありの11人中2人に明らかな誤嚥が、1人に食道通過異常が認められた。リスクなしの7人中1人に不顕性誤嚥が認められた。 次に、在宅高齢者を対象として、5ml水嚥下時の嚥下性無呼吸時間をMacLabシステムを使用して測定した。年齢分布は60-69歳24人(男性11人、女性13人)、70-79歳23人(男性20人、女性22人)、80歳以上24人(男性15人、女性9人)であり、これらの年齢群と性別によって比較した。その結果、年齢に有意差(p=0.014)を認め、性別と年齢に交互作用を認めた。嚥下性無呼吸時間は、男性では60-69歳群875±166ms、70-79歳群929±178ms、80歳以上群924±212msであり、女性では60-69歳群966±184ms、70-79歳群1019±164ms、80歳以上871±175msであった。男性では、嚥下性無呼吸時間が加齢に伴って延長したが、女性では60歳代に比較して70歳代では延長したが80歳以上になると短縮された。女性における結果はこれまでの報告とは異なる結果であり、今後対象の属性について検討する予定である。 注1)深田順子,鎌倉やよい,北池正,野尻雅美:在宅高齢者のための嚥下障害リスク評価尺度開発.日本看護研究学会雑誌,25(1),87-99,2002.
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