2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉岡 斉 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (30174890)
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Keywords | 人工透析 / 腎不全 / 医療改革 / 医療費 / 医療保険 / 医学史 |
Research Abstract |
この研究の目的は、日本における人工透析技術の開発利用の推移について、国際比較の観点を重視しつつ、社会史的な見取り図を描くことである。将来的には、このパイロットスタディーを土台として、医療関係者を巻き込んだ共同研究に発展させたいと考えている。 本年度は3年間の研究期間の2年目に当たる。人工透析医療の予備的な実態調査と、内外の文献・資料の調査及び収集を中心として、研究を進めた。 実態調査に関しては、神奈川県川崎市高津区の虎の門病院分院と、スイスのインターラーケン市のRegionalspital Interlakenを訪問し、とくに衛生管理と旅行透析の観点から、比較観察を試みた。衛生管理に関しては、一長一短であるとの認識を得た。スイスでは消毒面での配慮が充実しているが、透析中の針にカバーが掛けられていない。旅行透析に関しては、スイスが観光立国だけあって受け入れ体制が充実しており、英語での必要十分なコミュニケーションが可能となっている点が印象的だった。今後は他国の状況も調べたい。 内外の文献・資料の調査及び収集については、日本透析医学会の年会に出席して調査を行うとともに、同学会が毎年集計している統計資料(全14巻)を検討した。なお人工透析医療は総合医療であり、また医療政策との関連も深いため、幅広く関連領域の調査を行った。なかでも障害年金制度における透析患者の扱いについて調査を進めた。また医療費自己負担増加の趨勢の下での制度改変の可能性と、その中での障害年金制度の役割について考察を深めた。
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