2001 Fiscal Year Annual Research Report
大腿筋群の代謝・動員特性からの運動時二酸化炭素過剰排出の再検討
Project/Area Number |
13680033
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
平木場 浩二 九州工業大学, 情報工学部・生命体工学研究科, 教授 (70173226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲木 光晴 西南女学院大学, 保健福祉学部, 助教授 (20261787)
鳥井 正史 九州工業大学, 工学部・生命体工学研究科, 教授 (00207664)
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Keywords | 血中乳酸 / 重炭酸塩 / 体水分量 / 緩衡作用 / 作業筋量 |
Research Abstract |
平成13年度においては被験者10名とし、自転車エルゴメーターを用いて、1)疲労困憊値に至る漸増負荷テスト、2)換気閾値水準での6分間の一定負荷強度運動テストを実施した。これらの負荷テストの実験においては呼気ガス変量(V_E、VO_2、VCO_2)、血液ガス(pH、PO_2、PCO_2)および血中乳酸濃度(lactate)を測定し、各個人のVCO_2-VO_2の関係式より重炭酸塩(HCO_3^-)による乳酸の緩衝の結果生じる呼気中の二酸化炭素過剰排出量(total CO_2 excess)を算出した。また、大腿筋量(thigh volume)を形態学的測定により評価した。今年度は漸増運動負荷テスト時における作業筋、非作業筋および血液の各コンパートメント由来のCO_2 excessを分析するために、以下の三つの仮説に基づく生体モデルを設定した:1)体水分量は体重の60%を構成する、2)疲労困憊にいたる自転車駆動運動時の作業筋量は体重の25%に相当する、3)血液量は体重の7%に等しい。漸増運動負荷テストによる呼気中のtotal CO_2 excessとlactateのpeak値は、168±23mmolおよび8.3±0.5mmol/1となった。さらにtotal CO_2 excessに占める上記の各コンパートメント由来のCO_2 excessを試算してみると、血液由来が38.6±5.6mmol(23.2%)、作業筋由来が104.1±14.7mmol(62.4%)および非作業筋由来が24.9±16.6mol(14.4%)となることが確認された。作業筋由来のCO_2 excessに関する量的評価は、thigh volumeとtotal CO_2 excessの関係における決定係数(r^2=0.615、P<0.05)によっても立証された。thigh vo1umeは自転車駆動運動時の作業筋の大部分を占めると考えられる。従って、この結果は、total CO_2 excessの主源は作業筋内におけるHCO_3^-のlactateの緩衝の結果に由来するものであり、CO_2 excessと1actateが1:1の関係にあると仮定すると、作業筋由来のCO_2 excessの正確な評価は、非観血的に筋乳酸濃度を推定できることを示唆している。この研究成果は第七回European College of Sports Science(アテネ)において報告予定である。また、今年度実施した低強度一定負荷運動テストの結果は平成14年度に実施予定の高強度一定負荷運動テストの研究成果と比較検討する。
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