2001 Fiscal Year Annual Research Report
地籍資料を用いた植民地期朝鮮南部の都市・農村の変容に関する研究
Project/Area Number |
13680093
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
渋谷 鎮明 中部大学, 国際関係学部, 助教授 (60252748)
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Keywords | 朝鮮半島 / 植民地期 / 地籍図 / 土地台帳 / 都市 / 農村 / 日本人の活動 |
Research Abstract |
本年度は、植民地期に作成された朝鮮半島の地籍資料(地籍図・土地台帳など)について、基礎的な調査・研究を行うとともに、来年度以降に行う地籍資料を用いた当時の都市・農村の変容に関する調査研究の予備的調査を行った。 まず第一に、日本国内において、戦前の植民地における地籍資料の基本的な性格について検討を行った。その結果、朝鮮半島について作成された地籍資料のうち、土地台帳は日本の「明治22年7月大蔵省訓令第49号」にて定められた形式に準じていると思われ、また地籍図は、北海道の地籍図作成に初めて利用されたグリッドを用いた製図方式が採られたことなどが確認された。 第二に、韓国における地籍資料の残存状況と利用可能性について、現地に赴き調査を行った。その結果、韓国の全羅道木浦市、済州道全域、慶尚道慶州郡・義城郡、忠清道清州の各役所に当時の地籍資料が残存しており、それが戦後に至るまで利用されてきたことが明らかになった。とりわけ南済州郡では地籍図と土地台帳以外にもさまざまな資料が残存し、義城郡では資料の保存状態がきわめて良好であった。なお、これに関連して比較研究のために、朝鮮に先立って地籍資料が作られた沖縄県竹富町に赴き、土地台帳が町役場に所蔵されていることが明らかになった。 第三に、これまで予備的調査を実施した韓国・全羅道木浦市に研究協力者の山元(名古屋大・院生)と赴き、地籍資料を複写するとともに、土地台帳の情報をコンピューターに入力し、分析を開始した。その成果の一部は昨年度の人文地理学会大会において発表した。また、同時に済州島にも赴き、戦前期の日本人の蜜柑栽培の展開などの研究に、地籍資料を用いた分析が有効であることを確認した。
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Research Products
(1 results)