2003 Fiscal Year Annual Research Report
ノーマライゼーションをめざした障害児のための衣服設計に関する研究
Project/Area Number |
13680111
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
千葉 桂子 福島大学, 教育学部, 助教授 (80188482)
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Keywords | 障害児 / 衣服 / 動作解析 |
Research Abstract |
今年度は,聞き取り調査により障害児の成長過程における衣生活の実態を把握すると共に,衣服着脱動作における介助者の影響および個人差・年齢差による特徴を明らかにすることを予定していたが,諸事情により着脱動作の解析に重点をおいて取り組んだ。 以前にも述べたように衣服の着脱動作は非常に複雑であり,障害者の実態を捉えるためにはまず実験条件そのものの整備が重要である。より障害者の実生活に即した条件設定ができないかと考え,車いす利用者の衣服の着脱を想定して実験を行った。またその際に,市販の肘関節拘縮シミュレーターを利用した。着脱実験に用いた衣服は,長袖Tシャツ(綿95%・ポリウレタン5%)・半袖Tシャツ(綿100%)・長袖ワイシャツ(綿100%)の計3種類であった。被験者は健常な若年女子7名とダウン症若年女子1名であった。実験方法として被験者に肘関節拘縮シミュレーターをつけない・右腕につける・左腕につけるという3種類の条件の下,車いすに座り試料の衣服の着脱を行ってもらい左右側面および前面に設置した計3台のカメラによりビデオ撮影を行った。録画した画像から所要時間を計測した。また,試料および条件ごとに,着脱のしやすさに関するチェックシートに回答してもらった。その結果,全体的な傾向として肘関節拘縮シミュレーターをつけることにより特に長袖Tシャツと長袖ワイシャツの着衣において所要時間が長くなる傾向が捉えられた。半袖Tシャツについては着衣に時間はあまりかからないが脱衣に時間がかかることがわかった。またストレッチ性のある長袖Tシャツは袖に腕を,衿あきに首を通す・抜くといった動作が楽にできる反面,縫い目の位置等のよれが目立ち,全体の形を整えるのに時間がかかり被験者の心身の負担が大きいことがわかった。
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