2002 Fiscal Year Annual Research Report
機能ゲル材料を応用した快適なオムツの設計に関する研究
Project/Area Number |
13680112
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
仲西 正 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (90198143)
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Keywords | オムツ / ゲル / 吸水性 / 水の状態 / 示差走査熱量測定 |
Research Abstract |
平成14年度は,オムツモデルとしてゲル膜を調製し,尿成分物質収着性と透過性,また,それらに対応した示差熱分析を用いたゲル中水の状態の検討を行った.部分鹸化型ポリビニルアルコールを,グルタルアルデヒドと2種類の疎水性アルデヒドを用いて不溶化することによりゲル膜を3種類作成した.本補助金により昨年度購入した示差走査熱量計の測定により膜中水の状態を分類したところ,疎水性アルデヒドで不溶化した膜はグルタルアルデヒドで不溶化した膜に比べて,同じ含水率を持つ場合でも,自由水と結合水の量が2から4倍になることがわかった.尿成分モデルとして選んだハロゲン化ナトリウム塩の膜への収着量は,3種類のゲル膜がほぼ同じ含水率を持つ場合,水和エネルギーが小さいイオンを含む塩ほど膜による違いはなく,逆に水和エネルギーが大きいイオンからなる塩では分配係数に対するアルデヒドの違いの影響は大きかった.塩の分配の違いは部分鹸化型ポリビニルアルコールの残存アセチル基よりも,わずかに導入された疎水性アルデヒドによる影響が大きいことは興味深い.疎水性アルデヒドで橋かけしたゲル膜中の塩の拡散性は,含水率が同一でもグルタルアルデヒドの場合に比べて2から3倍であった.疎水性アルデヒドの導入により膜構造の不均一性が大きくなったためと考えられる. 来年度は,ゲルに対する遷移金属塩と染料の収着特性を調べる.遷移金属塩については,ゲルに消臭機能を持たせることを考えて行うものである.遷移金属で処理したゲルに対しては気相中での消臭特性を検知管法で調べる.3年間に得られた知見に基づき,ゲルとそれに含まれる「水」との関わりに注意して,新たな高機能生活材料としてのゲル材料利用の可能性およびそれに向けての設計指針を見出し,研究全体を総括する.
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