2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境ホルモン類と生体レセプターモデルとの相互作用とその電子状態解明に関する研究
Project/Area Number |
13680125
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
伊原 靖二 山口県立大学, 生活科学部, 教授 (80106583)
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Keywords | 環境ホルモン / 生体レセプターモデル / シクロデキストリン / ビスフェノールA / 包接作用 / ダイオキシン類 / 分子軌道計算 / 毒性等価係数 |
Research Abstract |
1)シクロデキストリン(CD)誘導体とビスフェノールAとの相互作用・・・環境ホルモンの1種であるビスフェノールAとCD誘導体との相互作用について、各温度変化の条件下での結合定数を求め、熱力学関数を算出した。その結果、この包接に伴う結合力は主として分子間の疎水性相互作用及び水素結合によるものであることが示唆された。さらに上記のビスフェノールAとレセプターモデルとしてのCD誘導体のコンプレックス形成時のエネルギーを理論計算により求め、これらの得られた安定化エネルギーの結果から,ビスフェノールAのCDへの包接作用の機構を推定し、実験結果と比較検討した。 2)ダイオキシン類の電子構造の解明及びシクロデキストリンホストとの相互作用・・・ダイオキシン類の内、ポリ塩化ジベンゾ-P-ダイオキシン(PCDD類)の詳細な電子状態を非経験的分子軌道計算のAb initio、DFT(密度汎関数)法及び半経験的AM1、PM3法による計算により求めた。75種類のPCDD類の絶対ハードネス(η)及び絶対電気陰性度(χ)を算出したところ負の相関が得られたこれらの結果から、PCDD類の毒性はη値とχ値に依存することが認められた。毒性等価係数(TEF)のわかっている代表的なPCDD類については、一般的にTEF値が減少するにつれて、χ値は増加し、η値は減少する傾向を示した。また全体的に毒性の強さとη-χ活性ダイアグラムの結果は非常に高い相関が認められ、PCDD類の毒性をこれらの値を用いることにより推定することが十分可能であることがわかった。今後さらに、CD存在下でのダイオキシンの相互作用を計算で求め、CDの包接により,いかにダイオキシン分子がソフト化されるかを予測するとともに,CDによる毒性や生物学的活性能の緩和及びシールド効果を推定する予定である。
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Research Products
(1 results)