2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境ホルモン類と生体レセプターモデルとの相互作用とその電子状態解明に関する研究
Project/Area Number |
13680125
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
伊原 靖二 山口県立大学, 生活科学部, 教授 (80106583)
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Keywords | ホルモン / 生体レセプターモデル / シクロデキストリン / エストロゲン / 包接作用 / 分子モデル計算 / 分子力場計算 / 安定化エネルギー |
Research Abstract |
1)ホルモン及びその関連物質とシクロデキストリンホストとの相互作用・・・エストロゲン作用を有するエストラジオール、エストリオール、及び環境ホルモンの1種であるビスフェノールAとレセプターモデルとしてのCD誘導体との相互作用について、各温度変化の条件下での結合定数を求め、熱力学関数を算出した。その結果、各ホルモン基質は2,6位の水酸基をメチル化したジメチルCD誘導体において、最も大きな結合定数が得られた。この高い結合定数は、ジメチルCDが最も適切な疎水性環境を提供し、そこへ基質がうまくフィットしたためと考えられる。また熱力学パラメーターの結果より、包接に伴う結合力は主として分子間の疎水性相互作用及び水素結合によるものであることが示唆された。さらに結合は発熱反応であり、結合のエンタルピーとエントロピーは補償関係にあることがわかった。 2)シクロデキストリンホストによる包接作用の分子モデル計算・・・上記のエストロゲン作用物質とCD誘導体のコンプレックス形成時のエネルギー変化を理論計算により求めた。エストロゲンのCDによる複合体形成を分子力場計算(MM)により算出したところ、すべてにおいて、ほぼCDは2級酸素側を上にして基質のフェノール基側のベンゼン環が内孔に包接されていることがわかった。最安定化した各CDとエストロゲンの包接作用に伴うエネルギー(Complex形成過程のエネルギー)は、すべてマイナスであり、約20〜25kcal/mol減少し、各コンポーネント別のエネルギーでは、ファンテルワールス力及び静電エネルギーの効果が大きく表われた。これらの結果は、両者間の疎水性相互作用及び水素結合の効果が高まり、包接複合体の安定性が増加することを示している。今後さらに、複合体の動的構造や機能の解明に有用である分子動力学の計算手法を用いて複合体の動的状態を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)