2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680136
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
矢井田 修 京都女子大学, 家政学部, 教授 (50029352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 啓 平安女学院短期大学, 生活学科, 教授 (20213077)
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Keywords | 絹不織布 / スパンレース不織布 / 不織布の細孔系分布 / KES法 / 総合不織布 |
Research Abstract |
絹不織布の有する優しい感触、優雅な外観および優れた快適性能を活用すべく、絹不織布と従来の汎用素材不織布と複合化して高級被服材料を開発することを目的とし、この目的を達成するための基礎的実験データの集積を行った。絹不織布の製造に関しては各種の方法が適用できると考えられ、今年度は繭試料を粉砕して得られる絹繊維集合体からウエブを作成し、樹脂接着法(ケミカルボンド法)、ニードルパンチ法、スパンレース法などによって絹不織布の製造を試みた。その結果、樹脂接着法やニードルパンチ法では目的とする絹の優しい外観を有する絹不織布を得ることができず、スパンレース法によってのみ目的とする絹不織布が得られた。そこで、スパンレース法に焦点を合わせ、絹スパンレース不織布の製造条件と絹不織布の構造特性、特に細孔径分布や絹不織布の物理的性能との関係について基礎的な実験を行うと共に、他の汎用繊維(ポリエステル繊維、レーヨン繊維)によるスパンレース不織布とその構造や物理的性能に関して比較検討した。なお、細孔径分布の測定にはパームポロメーター、力学的性質の測定にはKES-FBシステムを用いた。その結果、細孔径分布に関して、絹スパンレース不織布はポリエステルスパンレース不織布とは異なり、ある特定の大きさの細孔が大部分を占める分布曲線を示し、これは高圧水流による繊維同士の絡み合いの程度が異なることに起因していることが明らかとなった。即ち、弾性回復性の小さい絹繊維は高圧水流によって容易に変形し、その変形から回復しにくく、高圧水流のウエブ貫通口径に近い大きさの細孔が数多く生じると考えられた。KES法による基本力学特性に関して、曲げ特性において曲げ剛性はレーヨンとポリエステル不織布の中間であるが、曲げヒステリシスは小さく、剪断剛性が大きく、圧縮仕事量が大きく、表面の凹凸のばらつきが小さくなるという結果が得られた。これらは絹繊維の表面特性と力学特性が不織布中での繊維の絡み合いの程度と密接に関係するためと考えられた。
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[Publications] 0.Yaida: "Effects of Manufacturing Factors on the Structure and Physical Properties of Spunlace Nonwovens"Proceedings of The 6^<th> Asian Textile Conference. 200-205 (2001)
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[Publications] T.Baba, N.Nagasawa, H.Ito, O.Yaida, T.Miyamoto: "Changes in the Covalently Bound Surface Liquid Layer of Damaged Wool Fibers and Their Effects on Surface Properties"Textile Research Journal. Vol.71, No.4. 89-95 (2001)
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[Publications] T.Baba, N.Nagasawa, H.Ito, O.Yaida, T.Miyamoto: "Recovery of Surface Properties of Damaged Wool Fibers"Textile Research Journal. Vol.71, No.10. 885-890 (2001)
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[Publications] 矢井田 修, 大目木幸子, 安永知代, 熊田亜矢子: "絹スパンレース不織布の細孔構造と基本力学特性"生活造形. Vol.47. 45-50 (2002)
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[Publications] 菅井実夫, 徳永一丸, 上甲恭平, 近藤千夏, 廣田貴巳, 矢井田修: "試作ニードル加工機によるポリ乳酸不織布の力学特性変化"日本繊維機械学会誌論文集. Vol.55, No.1. T1-T6 (2002)