減量期の女子新体操選手における食事介入と鉄欠乏性貧血発現状況

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13680163
• Research Institution: Japan Women's College of Physical Education
• Principal Investigator: 川野 因 日本女子体育大学, 体育学部, 助教授 (80277681)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 佐藤 文代 十文字学園女子大学, 生活科学部, 教授 (40122965) ; 笹本 重子 日本女子体育大学, 体育学部, 助教授 (40267315) ; 石崎 朔子 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (80070605)
• Keywords: 新体操女性選手 / 鉄欠乏性貧血 / 食事介入 / 減量期 / フェリチン / ハプトグロビン

Research Abstract

【目的】スポーツ性貧血発現を予防する鉄及びエネルギー摂取目標量について検討すべく、減量期新体操選手における食事介入前・介入終了直前(以下、介入中)、および介入終了1ヶ月後の3回にわたって鉄欠乏性貧血発現状況を追跡する。
【方法】大学女子新体操選手12名を対象に、減量を前にした7月初めから1ヶ月間にわたって、大学学生食堂による一日3食、一定基準で調整された食事を提供した(エネルギー1500kcal、鉄16mg)。介入前、介入中、介入1ヶ月後の3回、体重、体脂肪量を計るとともに、身体状況や食事内容に関するアンケート調査を実施した。また、上腕皮静脈より採血し、赤血球数、ヘモグロビン濃度、血清鉄、フェリチンなどの各種貧血指標を検討した。
【結果】介入前、介入中、介入1ヶ月後の赤血球数はそれぞれ444±24、425±27、450±32(×10^4個)、ヘモグロビン濃度はそれぞれ12.8±0.9、12.3±0.8、12.3±1.2(mg/dlであり、期間中にこれらの値に有意な差は見られなかった。血清フェリチン濃度はそれぞれ11.6±5.1、19.6±13.8、9.5±6.1(ng/mlであり、介入中に介入前に比べ有意な上昇が見られた(p<0.05)。介入1ヶ月後は再び介入前値にもどった。一方、ハプトグロビン濃度はそれぞれ46.4±45.7、19.9±22.0、40.2±15.8(mg/dlであり、介入中に介入前及び介入後と比較していずれも有意に低下し(p<0.001)、介入期に溶血が出現した。
【結論】鉄16mgの食事介入下で鉄欠乏性貧血発現に改善が半数の選手に見られたものの、全選手ではなかったことから、減量期、激しい練習に耐える鉄摂取量としては16mg以上が望ましく、食事改善は激しい練習に耐えられるからだを造るとともに、鉄欠乏性貧血発現を予防できる可能性が示唆された。

Research Products

• [Publications] 川野 因 他: "新体操選手における食事介入と鉄欠乏性貧血発現状況について"第59回日本栄養食糧学会学術総会. (発表予定). (2002)
• [Publications] 川野 因, 渡嘉敷晶子, 西村佐喜子, 梶本雅俊: "A single bout of exercise on a cycle ergometer enhances the biosynthesis of red blood cells"日本女子体育大学 紀要. 32. 87-93 (2002)
• [Publications] Y.Kawano, A.Tokashiki, Y.Mekata, K.Hayashi, H.Matsumoto, I.Uchiyama: "Effect of body iron stores on indices of biosynthesis and destruction of red blood cells after a single session of cycling exercise"体力科学. 51(2). 225-234 (2002)
• [Publications] 柘植光代, 佐藤文代, 川野 因: "体育系女子学生の月経発現に及ぼす体格と競技種目の影響"肥満研究. 8(2). 162-167 (2002)
• [Publications] 川野 因, 石崎朔子, 笹本重子, 加藤(樋口)陽子, 小林修平: "Effect of meals with milk on body iron stores and improvement of dietary habit during weight loss in female rhythmic gymnasts"J Nutr Sci Vitaminol. 48(in press). 395-400 (2003)
• [Publications] 川野 因, 西村佐喜子, 笹本重子, 蘆田有希子, 石崎朔子: "新体操選手における体内鉄栄養状態と貧血発現状況との関連性"第56回日本栄養食糧学会講演要旨集. 56. 103 (2002)
• [Publications] 川野 因, 西村佐喜子, 笹本重子, 蘆田有希子, 石崎朔子: "新体操選手における体内鉄栄養状態と貧血発現状況との関連性"第58回日本栄養食糧学会講演要旨集. 103 (2003)
• [Publications] 小清水孝子, 石崎朔子, 笹本重子, 川野 因: "女子新体操選手のトレーニング期分けにおける安静時代謝の変化"第58回日本栄養食糧学会講演要旨集. 332 (2002)
• [Publications] 柘植光代, 小堀京子, 岩田香, 佐藤文代, 久野喜子, 長澤伸江, 川野 因: "食事記録法と食物摂取頻度調査法による女子大学性の栄養素等摂取量の検討"第58回日本栄養食糧学会講演要旨集. 341 (2002)
• [Publications] 石崎朔子, 川野 因, 蘆田有希子, 小澤 礼子, 山川純: "減量中の貧血予防のための食事介入"第57回日本体力医学会大会 講演要旨集. (発表済み). (2002)
• [Publications] 柘植光代, 高橋律子, 古泉佳代, 岩田香, 佐藤文代, 長澤伸江, 川野 因: "昆布摂取が便性改善に及ぼす効果について"第49回日本栄養改善学会学術総会講演集. 257 (2002)
• [Publications] 古泉佳代, 高橋律子, 小清水孝子, 川野 因: "体育大学生の筋量の左右差と食生活"第49回日本栄養改善学会学術総会講演集. 258 (2002)