2001 Fiscal Year Annual Research Report
誘電凍結法により冷凍した食品のテクスチャーと組織構造
Project/Area Number |
13680166
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
田村 咲江 徳島文理大学, 家政学部, 教授 (30033632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 純子 徳島文理大学, 家政学部, 講師 (20289317)
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Keywords | 誘電冷凍 / 急速冷凍 / 緩慢冷凍 / ニンジン / 鶏肉 / 破断応力 / 組織構造 |
Research Abstract |
本研究は、食品のより望ましい貯蔵法を追究することを目的として、誘電冷凍法と急速冷凍法、緩慢冷凍法を用いて食品の冷凍・解凍後の品質を比較評価したものである。誘電冷凍装置は、(株)アピー製で冷凍庫内(-45℃)に静磁場と動磁場を重畳させて振動磁場を食品に作用させ、食品内に発生する微弱な振動電流によって水分子のクラスターをより小集団化するとともに過冷却状態を起こさせ、凍結点を下げて凍結させることを特徴としているもので、同規格で誘電装置のない急速冷凍庫(-45℃)、及び恒温器(-20℃,東洋製作所AGX-225)での冷凍と比較検討した。 実験材料は、五寸ニンジン(徳島産、長崎産)と鶏胸肉(徳島産ブロイラー)を用い、ニンジンは3.7±0.2gの小片を65℃10分間予加熱し15個を1袋にして脱気包装した。鶏胸肉は皮を除いて180gに整形して一枚ずつ脱気包装した。-20℃冷凍を除いて品温-35℃まで冷凍庫内で冷凍して後は-30℃の保管庫に貯蔵した。7日間貯蔵後、内部温度が0℃になるまで25℃流水で解凍し、試料の破断応力測定(山電,RE-33005)、樹脂包埋切片の光学顕微鏡観察、食物系専攻4年生による官能倹査(鶏肉は蒸し加熱後)を行った。 ニンジンにおいては、組織内に見られる氷結晶の跡が緩慢・急速冷凍では大きく塊状に存在したが、誘電冷凍では氷結晶の跡はより小さく、組織全体に分散していた。破断応力、破断歪率ともに若千小さく、官能倹査では5%の危険率でかみ切りやすいと判定された。一方鶏肉では、光顕観察で急速冷凍と緩慢冷凍の差は顕著であったが、誘電冷凍との差は判定するに至らなかった。今後、透過電子顕微鏡観察により微細構造の相違を検討するとともに、4ヶ月程度貯蔵した試料において差異の有無を迫究する予定である。
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