2002 Fiscal Year Annual Research Report
新方式の極微量試料・極低温OSL年代測定法の開発研究と遺跡試料への適用
Project/Area Number |
13680179
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
長友 恒人 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (80031582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平賀 章三 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (10031593)
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Keywords | 年代測定 / OSL / IRSL / 極低温測定 / 遺跡試料 |
Research Abstract |
1.長石のIRSL発光色 遺跡の第四系堆積物のIRSL年代測定では、長石または微粒のマルチミネラルを赤外光で励起して測定する。微粒のマルチミネラルを試料とする場合も発光するのは長石であるから、長石の発光色に適した測定条件を設定することが重要である。4種類の長石(正長石・微斜カリ長石・曹長石・灰曹長石)を赤外光(880±20nm)で励起し、高感度フィルムで撮影して発光色を観測した。その結果、灰曹長石は明瞭な黄色、微斜カリ長石は黄緑色、曹長石は青みがかった黄緑色であり、正長石は2kGyまでの吸収線量では高感度フィルムで撮影できなかった。 この結果から、年代測定に使用する試料中の長石の種類を同定してカラーフィルターを選択することが有効であることが分かった。 2.遺跡試料の年代測定 ロシア沿海州のZaisanovkal遺跡、Posietl遺跡とサハリンのSennayal遺跡及び宮崎県後牟田遺跡、北海道総進不動坂遺跡などの地層のIRSL測定を実施した。 Zaisanovkal遺跡 1.9±0.8〜3.4±0.7ka Posietl遺跡 8.7±2.1〜14.9±2.5ka Sennayal遺跡 154±15〜197±32ka 後牟田遺跡 26.6±5.1〜35.5±4.0ka 総進不動坂遺跡 62±5ka などの結果を得た。この測定において、上記の「長石のIRSL発光色」の予備検討及び昨年度に行ったプレヒート条件・測定温度の予備実験の結果を採用することにより、比較的安定した再現性のある測定結果を得ることができた。 3.測定試料を軽減する試み single aliquotを使用して測定する試みを行い、等価線量測定としては、処理後の試料10mg以下で測定することが可能になった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Vasilvski.A.A, Nagatomo T., Shitaoka Y, Mikishin Y.: "To the problem of Lower and Middle Palaeolithic in Sakhalin (Stratigraphy, Industry, Chronology)"17th Congress of the Indo-Pacific Prehistry Association, Academic Sinica, Taipei, Taiwan. 9-15, September, 2002. (口頭発表). (2002)
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[Publications] 下岡順直, 長友恒人: "石英・長石を試料とした光励起ルミネッセンス年代測定法の基礎研究"RADIOISOTOPE. 50巻. 381-389 (2001)
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[Publications] 長友恒人: "ルミネッセンス年代測定(特集:年代と産地の考古学)"季刊考古学. 77号. 44-49 (2001)
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[Publications] 長友恒人, 森 丈幸: "ルミネッセンス法によるテフラの年代測定"「後牟田遺跡」後牟田遺跡調査団・川南町教育委員会編. 304-308 (2002)
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[Publications] 長友恒人, 下岡順直, 津川理絵: "大野E遺跡のルミネッセンス年代"「大野遺跡群」人吉市文化財調査報告書第20集、人吉市教育委員会編. 302-307 (2002)
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[Publications] 下岡順直, 長友恒人, 森本国宏: "IRSL発光色と堆積物のIRSL年代測定"ESR応用計測. 19巻. 21 (2002)