2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680180
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
安部 巌 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (60081311)
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Keywords | アミノ酸 / ラセミ化 / 年代測定 / 化石 / 前処理 / ガスクロマトグラフィー / 高速液体クロマトグラフィー / 測定精度 |
Research Abstract |
アミノ酸ラセミ化年代測定法は、骨や木片など生物由来の化石の年代測定に適していて、(1)測定年代領域が約1000年から100万年と広い、(2)測定に必要な試料量が骨や貝殻の場合約0.1グラムと少なくてすむ、(3)測定対象試料が貝殻、哺乳動物、有孔虫、古木、動物の歯など多岐にわたる、(4)測定に際して、放射性炭素法などのように、高価な装置を必要としない、(5)消耗品などの経常費が比較的安価である、などの長所を有する。その反面、(1)ラセミ化は化学反応の一種であり、温度依存性であるために、絶対年代の測定が難しい、(2)同一場所で採取された別の年代既知の骨などがあれば、他の試料の絶対年代が測定できるが、そのような骨が入手できるケースは少ない、(3)試料に含まれるタンパク質を抽出し、さらに小さな単位の遊離のアミノ酸に加水分解した後、その各アミノ酸のD/L比率を測定するので、処理過程が複雑になり、測定誤差を生じやすい、などの短所も有する。 今回の研究は、短所である(3)を改善し、測定年代の精度を向上させることによって、年代のバラツキをなくし、本法をより信頼性のある判定基準法の一つとして確立するのを最大の目的としている。その一策として、これまでガスクロマトグラフィー(GC)だけに頼ってきたアミノ酸のD/L比測定を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でも並行して行い、その結果を比較する。また、試料からのタンパク質の抽出や加水分解操作を迅速にし、汚染などを最小限に抑えるために、近年開発された固相抽出法などを用いて、測定方式を画一化しようとするものである。現在までのところ、HPLCの納期がやや遅くなったので、D, L-アミノ酸の最適光学分割条件の設定の検討に留まっているが、いくつかの試料の測定結果では、GC法よりもやや高い精度が得られている。来年度からは、古木なども測定対象とし、より確実な前処理法を検討しようと考えている。
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