2001 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータを含み込む学習環境が生み出す参加者間の水平的・垂直的相互作用の分析
Project/Area Number |
13680250
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
東原 文子 聖徳大学, 人文学部, 講師 (60272150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土橋 永一 聖徳大学, 人文学部, 教授 (10237175)
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Keywords | コンピュータ / 学習環境 / 社会的相互作用 / 小学生 / 幼児 / 母子相互作用 / 会話分析 / 遊び |
Research Abstract |
本研究では、1台のコンピュータでアニメーション制作活動をする際に、メンバー間にどのような相互作用が生まれるかを、同じ発達水準にある仲間どうしの「水平的」相互作用と、熟達度が違う者どうしの「垂直的」相互作用のセッティングで会話分析により検討した。 研究1では、小学校4年生3名の自然発生的な小集団によるアニメーション作成活動を観察した。このアニメーション作成ソフトは選択画面で登場人物や背景、道具等をマウスで選び、登場人物の動きや台詞も自分達で選んでストーリーを展開していくものである。会話分析の結果、メンバーの中に自ずと役割分担が生まれることがわかった。すなわち、マウスを持つ児童がキャストや道具係であり、傍らで見て盛んに提案や評価をする児童がディレクターであり、もう1人の、少し遠くから眺めて時々発言する児童が観客、といった役割である。 研究2では幼児(3歳児・4歳児各1名)とその母親を対象とした。2組の親子をそれぞれ3ケ月ずつ追っていくことで、子どもの発達に伴って相互作用がかわっていくようすが明確になった。子ども自身がマウス操作を行なわない場合には子どもが母親に画面とストーリーに関する要望を伝え、自分でマウス操作をするようになった当初は操作と画面についての発話が中心となり、操作に慣れるにつれまた操作に関する発話が減っていくということである。 さらに、両研究を通して、コンピュータが、相互作用を媒介する「通訳者」「代弁者」としての役割を担うことが確認でき右特に、操作が簡単で、アイデアを実現しやすいこのようなソフトを利用した場合、イメージの共有がしやすく、相互作用の生まれやすい環境になるといえよう。
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Research Products
(1 results)