2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680255
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
斎藤 美穂 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (90288043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 真 早稲田大学, 人間科学部, 助手 (60318813)
野嶋 栄一郎 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20000086)
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Keywords | 対人認知 / 異文化間コミュニケーション / 表情認知 / 笑い / 動画刺激 / 文脈 |
Research Abstract |
異文化間コミュニケーションにおける感情認知とその文化的差異を研究するために、本研究では特に、異なる文化でも共通する感情表現として「笑い」を取り上げている。本年度の研究では、場面・相手などの文脈の違いが、様々な種類の笑いに対する好ましさの認知にどのような影響を及ぼすかを明らかにするための実験と調査を実施した。 基礎的な実験として、演技ではなく、自然な形での様々な種類の「笑い」を抽出するために、米国の大学生の協力を得て、自然なコミュニケーション場面やディスカッション場面における表情を撮影し、その中から様々な「笑い」の表情を抽出し、映像の編集を行った。これは次年度に行う予定となっているWWWブラウザを使用した表情認知の実験に用いる動画刺激の一部となる。 一方、「笑い」の意味は、文脈により、その解釈が異なると考えられる。また文化により笑いに対する好ましさや許容範囲も異なると考えられる。そこでこの点を明らかにするために、日米の大学生を対象にアンケート調査を実施した。この調査では、場面や対人関係の異なる文脈において、同じ種類の笑いでも、その許容範囲に異文化間でどのような違いが見られるかを検討するものである。アンケート調査の中では、面接会場、エレベータ内、喫茶店内の3つの場所それぞれについて、年上、同世代、同性、異性の4つの対人的場面を設け、この3つの場所、4つの場面それぞれにおいて、8種類の笑いに対する好ましさを、許容範囲を測る4段階評定尺度で評定させ、さらに一般的な社会的態度の傾向を知るための質問を行った。集計および分析を行った結果、文脈や認知する者の文化的背景との因果関係を明らかにしていくことで、笑いに対する認知のみならず、感情表現の認知をより明確に捉えることが可能となることが示唆された。これらの結果を次年度からの実験に反映させ検討を進めていく。
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