2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680255
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
斎藤 美穂 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (90288043)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 真 上越教育大学, 学校教育総合研究センター, 専任講師 (60318813)
野嶋 栄一郎 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20000086)
|
Keywords | 異文化間コミュニケーション / 動画像 / 笑い / 感情表現 / 対人認知 / 日米比較 / イメージ |
Research Abstract |
感情認知における文化的差異を検討するため,本研究では異なる文化でも共通する感情表現として「笑いや微笑み」を取り上げ,異文化間コミュニケーションにおける笑顔に対する認知の差異を探ろうとしている.本年度の研究では、同一の米国人の表情の動画像を刺激とし日本人と米国人における米国人の笑顔に対する嗜好や印象変化を検討するための調査を実施した. 刺激として、昨年度に米国で採取したデータベースの中から編集された米国人男女の「笑顔」と「真顔」の動画像(Quicktime形式)4組を使用した.これらは演技ではなく自然なコミュニケーション場面で収録されたものである.また刺激提示の際には音声情報を削除した.これらの刺激をWebでCGIを使用したアンケート上に提示し,日米の大学生に「笑顔」と「真顔」の動画像に対する印象変化をSD法(7段階尺度)にて評定してもらい,各刺激に対するイメージを因子分析により検討した. イメージプロフィールでは真顔より笑顔に対して好印象でアクティブなイメージに変化し,その結果は日米で共通していたものの,因子分析や分散分析の結果からは文化的な差異も得られた.すなわち日本では米国人が笑顔になるとポジティブになり,真顔になるとネガティブなパーソナリティーイメージになる傾向が明確であるのに対し,米国では真顔でもポジティブな印象を受けていることが分かった.この事から笑顔がポジティブな印象を与えるのは,同一の文化におけるコミュニケーションよりもむしろ他文化におけるコミュニケーションにおいてであることが指摘できる.換言するならば笑顔は異文化間コミュニケーションにおいてより効果的であり,異文化での対人認知では笑顔の果たす役割が大きいという事を示唆するものである.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 斎藤美穂, 石川真: "動画刺激を用いた笑いの認識について"日本社会心理学会第44回大会発表論文集. 369-369 (2003)
-
[Publications] 野嶋栄一郎: "インターネットを利用した異文化交流カリキュラムにおける学習様相の解明"日本教育工学会第19回全国大会講演論文集. 155-156 (2003)
-
[Publications] 石川真: "CMC場面における顔画像付加が対人認知に及ぼす影響"上越教育大学研究紀要. Vol.22, No.2. 343-355 (2003)