2001 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害児の数学的コミュニケーションにおける選択的知覚の鋭敏化
Project/Area Number |
13680282
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
江森 英世 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (90267526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 明 福島大学, 教育学部, 助教授 (60289791)
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Keywords | 数学教育 / 障害児教育 / 数学的コミュニケーション / 選択的知覚 / 数学的概念の形成 |
Research Abstract |
私たちは、平成11・12年度の研究によって、聴覚障害児が示す操作的意味への固執という問題に取り組んできた。その結果、視覚的なメッセージを操作として受け入れるのみではなく、そこに含意されている構造的な意味を見出すためには、メッセージを選択的に知覚する必要があることを究明した。こうした研究成果を受けて、平成13・14年度の研究では、「聴覚障害児の数学的コミュニケーションにおける選択的知覚の鋭敏化」という研究課題に取り組んでいる。研究1年目の平成13年度は、主に選択的知覚という問題について理論的な検討を行ってきた。本年度の研究成果の概要を述べれば、以下のようにまとめることができる。 メッセージはコミュニケーションの対象として受信時に解釈され、また、その後の認知過程において反省的思考の対象として再解釈されるように、選択的知覚も2つの段階で行われる。まず受信時に、メッセージは選択的に知覚され、第1の解釈をもたらす。そして、その後の認知過程において、先に解釈されたメッセージは必要に応じて想起され再解釈されるが、この時には、また別の知覚様式を発見することもある。それまで何度も見たり聞いたりしていたことが、別の構造を持った情報体として認識されることもある。別の知覚様式に気づくことが新たな思考を活性化させ、思考の活性化が対象の一部にさらなる意識の集中をもたらす。ある知覚に対する意識の集中が、選択的知覚の鋭敏化ということである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 江森 英世: "数学的コミュニケーションにおけるメッセージ解釈の結束性"第34回数学教育論文発表会論文集. 145-150 (2001)
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[Publications] 森本 明: "数学的概念の構造的意味の伝達における正当化"第34回数学教育論文発表会論文集. 175-180 (2001)
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[Publications] 米山文雄, 新井達也, 森本明: "動画教材の利用による数学的思考力育成の可能性について"第35回全日本聾教育研究大会研究集録. 135-136 (2001)
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[Publications] 江森 英世: "数学的コミュニケーションの定義"算数・数学教育の新世紀(第4章第3節第1項). (In print).
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[Publications] 森本 明: "聴覚障害児の数学学習 : 数学的意味の伝達に伴う困難性"算数・数学教育の新世紀(第4章第3節第2項). (In print).
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[Publications] 江森 英世: "数学における視覚的表現 : 思考、コミュニケーション、学習"日本数学教育学会編.日本の算数・数学教育2001(yearbook第7号)(In print).