2002 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害児の数学的コミュニケーションにおける選択的知覚の鋭敏化
Project/Area Number |
13680282
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Research Institution | UTSUNOMIYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
江森 英世 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (90267526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 義久 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (20144917)
木村 寛 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (70017953)
森本 明 福島大学, 教育学部, 助教授 (60289791)
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Keywords | 数学教育 / 聴覚障害児教育 / 数学的コミュニケーション / 操作的意味 / 数学的概念の形成 |
Research Abstract |
平成9年度から平成12年度までの4年間の研究により、私たちは、聴覚障害児の談話体験が数学的概念の形成に有効に機能すること、ならびに、その効果を向上させるためには、視覚的な刺激に対する選択的知覚を強化することが必要だという結論を得てきた。そして、こうした過去4年間の研究成果をもとに、聾学校での教育実践の一環として、手話や口話などを取り入れることによって、音声刺激に対する障害を乗り越え、聴児と同じような数学的アイデアの交換が可能となる学習活動を支援する活動を展開してきた。しかし、このような教育実践を行うためには、聴覚障害児にとって多くの情報収集手段である視覚を用いる感覚知覚の強化という問題を克服しなければならない。そこで私たちは、平成13・14年度の研究として、聴覚障害児の談話や認知過程の分析方法など、過去4年間で開発してきた研究方法論を活用し、問題解決、推論、情報伝達という3つの数学的活動を統合する活動として数学的コミュニケーションを捉えることにより、選択的知覚の鋭敏化という研究課題へ取り組むことにした。これまでの研究の成果を要約すれば、(1)聴覚障害児によるメッセージ解釈の認知過程が、認識、同化、拡張、分化、再構成の5つの相として同定されたこと、(2)メッセージ解釈における選択的知覚と構造的意味の形成に関する知覚の役割が解明されたことをあげることができる。また、数学的概念形成における操作的意味への固執性の克服手段として、選択的知覚を鋭敏化させる教育方法の開発が、研究協力校の協力を得て行われていることも本研究の成果の一つである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 江森 英世: "数学的コミュニケーションにおけるメッセージ解釈の結束性"日本数学教育学会第34回数学教育論文発表会論文集. 34. 145-150 (2001)
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[Publications] 江森 英世: "コミュニケーション連鎖の類型論を用いた数学の授業分析"日本数学教育学会第35回数学教育論文発表会論文集. 35. 403-408 (2002)
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[Publications] Winslow, C., Emori, H.: "Elements of a semiotic analysis of the secondary level classroom in Japan"Pre-comference Proceedings of the ICMI Comparative Study Conference 2002. 87-96 (2002)
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[Publications] 森本 明: "数学的概念の構造的意味の伝達における正当化"日本数学教育学会第34回論文発表会論文集. 34. 175-180 (2001)
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[Publications] 米山文雄, 新井達也, 森本明: "聴覚障害学生における数学的概念への意味づけに関する考察"ろう教育科学会第43回年会論文集. 43. 47-50 (2001)
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[Publications] 森本 明: "聾学校の算数・数学の授業におけるコミュニケーションの重要性"第35回数学教育論文発表会 「課題別分科会」発表集録. 172-175 (2002)
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[Publications] 江森 英世: "日本の算数・数学教育2001(yearbook第7号)"数学における視覚的表現:思考、コミュニケーション、学習(in press). (2001)