2002 Fiscal Year Annual Research Report
10代半ばの年齢層の音楽空間と音楽的趣味・嗜好の形成
Project/Area Number |
13680294
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
杉江 淑子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (30172828)
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Keywords | 音楽的趣味・嗜好 / 稽古事 / 若者文化 / ポピュラー音楽 / 質問紙調査 / 文化資本 / 音楽教育 / 音楽聴取 |
Research Abstract |
音楽文化のグローバリゼーションと多様化が進行する現代社会において、子どもたちが、どのような社会的・文化的文脈のもとで音楽的趣味・嗜好を形成し、音楽的アイデンティティを確立していくのかを明らかにすることが目的である。そのため、本研究では、10代半ばの若者に焦点を合わせて調査・分析を進めている。平成14年度は、13年度に実施した2つの調査の分析を深め、2編のペーパーをまとめた。第1のペーパーでは、中学生調査の分析から、音楽的趣味・嗜好における2つのタイプ、即ち多様な音楽に幅広い趣味・嗜好を示すタイプとポピュラー音楽のみに限定された趣味・嗜好を示すタイプの違いがどのような要因からもたらされるのかを、学校と学校外の音楽教育との関係に分析視点を定めて考察した。このペーパーは、MISTEC(Mnsic in Schools and Teacher Education Commission of ISME)において受理され、平成14年8月にスウェーデンで開催された国際セミナーにおいて発表と討論を行い、さらに当地の研究者や音楽学生から本研究への意見を得るとともに関連情報を収集した。第2のペーパーでは、「音楽への熱中(のめり込み)の深さ」に注目した考察を、ポピュラー音楽に熱中している若者に焦点を絞って考祭した。考察の中心は、ポピュラー音楽専門学校の生徒に対する質問紙及びインタビュー調査であるが、その他に、ポピュラー音楽のバンド活動を行っている若者のインターネットサイトへの投稿を補足的資料として分析した。その結果、ポピュラー音楽に熱中している若者は、(1)視聴覚メディアを通した聴取においてはポピュラー音楽に限定された趣味・嗜好を示すが、(2)ライブでの音楽聴取の欲求は多様な音楽に対して持っていること、(3)音楽を聴く行為や聴取能力は、ポピュラー音楽に熱中する若者の音楽学習にとって重要な意味を持つことが示唆された。このペーパーは、平成15年7月に開催予定の第4回APSMER(アジア太平洋音楽教育研究シンポジウム)で発表予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yohiko M.SUGIE: "How music education in school and outside school acts on the formation of musical tastes"Thirteenth International MISTEC Seminar, Malmo, Sweden, August 2002(研究発表). (印刷中). (2003)