2001 Fiscal Year Annual Research Report
算数教育における教師の職能成長のシステムの開発研究
Project/Area Number |
13680302
|
Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
重松 敬一 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40116281)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 圭子 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (70272143)
高澤 茂樹 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (30268057)
勝美 芳雄 皇學館大學, 文学部, 講師 (40329909)
|
Keywords | 研究会 / 教師の職能成長 / メタ認知 |
Research Abstract |
本研究は研究会が教師の職能成長をもたらすメカニズムを明らかにすることを目標としている。 13年度は、週に1度定期的にもたれる研究会に継続して参加する公立小学校の教師を事例にとり、職能成長のプロセスについて考察した。分析資料として(1)過去2年分の当研究会でのコメントの記録、(2)この教師が研究会参加の初期に行った小学3年生算数科(重さ)の研究授業の記録、(3)13年1月に行われた小学4年生算数科(面積)の授業の録画をリライトした記録等を使用した。 上記の資料の分析は (1) 初期の授業での教師の発話(資料(2))と最近の授業での発話(資料(3))の比較、 (2) 研究会で与えられたコメント(資料(1))と最近の授業(資料(3))との関連性の考察、 (3) メタ認知的観点よりの考察 の手順ですすめられた。 本事例の教師は初期の授業より児童の興味を引き出す具体的な活動をとおして児童の考えを引き出しながら授業をすすめていた。いづれの授業でも教材は子どもに意味のある身近なものを使用していた。しかし最近の授業の中に新たに授業の目的、推論の根拠、子供にとって具体的なものを言葉にして顕かに表現する発話の出現が観察されメタ認知の育成への配慮がうかがわれる。また授業教材の発展として「どのようなところが測ってみたい」という問いかけ、それに続く「外へ出て算数をする」という教室の外への広がりを意識した発話が新たにみられた。 また研究会のコメントとの関連では、頻繁に与えられた行動の意識化や推論の根拠の自覚の重要性に関するコメントがフレーズとしてこの教師の新しい発話に取り入れられていることを確認した。 このことより、教師は研究会で得たアドバイスを授業の中で判断の基準として使用しそれが授業の変化の要因になっていることがうかがえた。次年度はこのモデルをさらに検証し発展させるため、別の事例をいくつか分析していく。
|
-
[Publications] 日野 圭子, 森 清美: "算数科におけるコミュニケーションについての研究:実践をとおしての振り返りと試み"奈良教育大学紀要. 50(1). 37-51 (2001)
-
[Publications] 高澤 茂樹: "数学教師の知識とそれを顕在化させる方法"全国数学教育学会 口頭発表(2001. 6. 23).
-
[Publications] Keiko Hino, Keiichi Shigematsu: "Creating a frame of reference for mathematics teaching : A Study of teacher change through an in-service education program"Proceedings of ICMI-EARCOME 2002 SEACME 9. (2002)
-
[Publications] 重松敬一, 勝美芳雄, 勝井ひろみ, 生駒有喜子: "数学教育におけるメタ認知の研究(16)-教師によるメタ認知的支援の枠組み-"日本数学教育学会第34回論文発表会論文集. 373-378 (2001)
-
[Publications] 重松敬一: "子どもの算数への期待に応え,算数の力をつけよう"日本数学教育学会会誌「算数教育」. 第81巻第12号. 1 (2001)
-
[Publications] 勝美 芳雄: "子供と算数(皇學館大學講演業書103輯)"皇學館大學出版部. 42 (2001)