2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヘレン・ヘファナンのカリキュラム論と問題解決学習論の研究
Project/Area Number |
13680305
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木村 博一 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (10186330)
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Keywords | ヘレン・ヘファナン / カリキュラム / 問題解決学習 / 初等教育 / 社会科教育 |
Research Abstract |
本研究の対象としたヘレン・ヘファナン(Helen Heffernan)は、カリフォルニア州の指導主事を経て、敗戦直後に来日し、日本の小学校社会科の創設に関わった人物の一人である。彼女が大きな影響を与えたとされる『小学校社会科学習指導要領補説』(昭和23年発行)は、子どもの問題解決的な思考を踏まえた社会科授業の原型を示したものとして高く評価されている。ところが、彼女のカリキュラム論と問題解決学習論の体系的な収集と解明は、日本において未だ本格的には行われていない。 4年間の研究計画の初年度に当たる平成13年度は、ヘレン・ヘファナンが来日してから帰米するまでの約1年間に発表された邦文論文の調査と収集を行った。具体的には、国立国会図書館、東京大学、東京学芸大学などに所蔵されている戦後直後の教育雑誌の検索を丹念に行い、その成果として、彼女が執筆した合計22本の論文を収集した。従来の戦後教育史関係の研究論文で引用されてきた彼女の論文は5本程度であり、新たに見出された諸論文からは、彼女の教育論の対象が初等社会科のカリキュラム論のみならず、コミュニティ・スクール論、美術教育論や算数教育論、討議法などの学習活動論、さらには教師教育のあり方にまで及んでいることが明らかになった。そして、彼女の教育的関心は多方面に渡っているが、その根幹には民主的な学校教育をどのように構築するかという強固な問題意識が内在していることが見出された。
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