2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヘレン・ヘファナンのカリキュラム論と問題解決学習論の研究
Project/Area Number |
13680305
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木村 博一 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (10186330)
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Keywords | ヘレン・ヘファナン / カリキュラム / 問題解決学習 / 初等教育 / 社会科教育 |
Research Abstract |
本研究の対象としたヘレン・ヘファナン(Helen Heffernan)は、カリフォルニア州の指導主事を経て、敗戦直後に来日し、日本の小学校社会科の創設に関わった人物の一人である。彼女が大きな影響を与えたとされる『小学校社会科学習指導要領補説』(昭和23年発行)は、子どもの問題解決的な思考を踏まえた社会科授業の原型を示したものとして高く評価されている。ところが、彼女のカリキュラム論と問題解決学習論の体系的な収集と解明は、日本において未だ本格的には行われていない。 4年間の研究計画の2年目に当たる平成14年度は、次の3つの作業を行った。 第1に、彼女が執筆した教育論文を検索し、収集した。昨年度は邦文論文の検索と収集を行ったが、今年度は、彼女が執筆した合計48本の英文論文を収集した。これらには、初等社会科に関する論文が多く含まれ、彼女の教育的関心が社会科に注がれていたことが伺える。けれども、彼女の最大の関心事は、経験主義教育論に立脚した学校教育全体の改革であり、その中核的な教科として社会科が位置づけられていたことが明らかになった。 第2に、国立国会図書館などに所蔵されている連合国軍総司令部民間情報教育局(GHQ/CIE)関係の会議記録や週間記録等を検索し、ヘレン・ヘファナンに関係した資料を収集した。特に、『小学校社会科学習指導要領補説』の編集過程、彼女を中心として活動がなされていた初等教育研究協議会関係の記録を丹念に収集した。 そして第3に、国立教育政策研究所に所蔵されている「戦後教育資料」と「教育課程文庫」を検索することによって、ヘレン・ヘファナンに関係した資料の収集を行った。
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