2001 Fiscal Year Annual Research Report
前方後円墳の年代推定と墳形再生に関する情報処理的研究
Project/Area Number |
13680467
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
小沢 一雅 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 教授 (40076823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 常員 大阪電気通信大学, 工学部(2部), 助教授 (50202015)
江澤 義典 関西大学, 総合情報学部, 教授 (90098103)
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Keywords | 前方後円墳 / 考古学 / 年代推定 / 復元 / 情報処理 / コンピュータ / パターン |
Research Abstract |
前方後円墳の墳丘の基本形状を規定する7つの部位(墳丘長・後円部径・くびれ部幅・前方部幅・後円部高・くびれ部高・前方部高)に関する主成分分析によって得られた第1主成分と第2主成分が、墳形の変動に関して80%以上の寄与率をもつ説明変数であることは代表者の従前の研究で明らかになっている。とくに、第1主成分が前方後円墳の築造年代と強い相関をもつことも同時に判明している。 本年度の研究では前方後円墳の墳形による年代推定が第1主成分を基礎にして実現できるという見通しのもとに、まず第1主成分が築造年代と相関をもつメカニズムを解明することに重点をおいた。第1主成分(7つの部位の1次結合)の各重み係数の比較および前方後円墳の時期別に作成した各種散布図の意味分析を通じて、第1主成分が築造年代と相関をもつ原因をほぼつきとめることができた。すなわち、前方後円墳の平面企画に属する4つの部位(墳丘長・後円部径・くびれ部幅・前方部幅)のうち、後円部径、くびれ部幅、前方部幅の3つの部位によって決まる2つの比率(相対くびれ部幅と相対前方部幅)が前方後円墳の年代を説明する変数であることが判明した。相対くびれ部幅=くびれ部幅/後円部径、相対前方部幅=前方部幅/後円部径であって、ともに後円部径に対する比率として与えられるものである。2つの比率は、当然年代推定に応用できることになるが、その考古学的根拠に関する調査研究もあわせて行い、本手法の信頼性を確保することにもつとめた。 本手法による前方後円墳の年代推定を具体的な古墳を対象にして実践するためには、多くの考古学研究家に認知される推定手順を確立する必要がある。本年度の研究では、暫定的に編年座標図および型式座標図と名づけた分析用のチャートを考案し、その有効性と利便性の検証に着手した。
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