2001 Fiscal Year Annual Research Report
トラヒックの実測データを利用した情報伝達品質の制御手法に関する研究
Project/Area Number |
13680502
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
計 宇生 国立情報学研究所, ソフトウェア研究系, 助教授 (80225333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 貴之 国立情報学研究所, 情報基盤研究系, 助手 (60300703)
阿部 俊二 国立情報学研究所, 実証研究センター, 助教授 (00280561)
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Keywords | サービス品質 / トラヒック制御 / トラヒックモニタリング / 品質保証 / 自己相似性 / 長期依存性 |
Research Abstract |
ネットワークの広帯域化、ネットワーク上のアプリケーションの普及によって、情報伝達サービスの品質に対する要求も多種多様となり、これらを満足することは重要な課題になっている。本研究では、高速情報通信ネットワーク上に流れるトラヒックに対する実測や分析を行い、実測されたトラヒックデータを利用して、品質制御方法の有効性を検証し、より現実に即したトラヒック記述、品質制御の手法を見出すことが目的である。 本年度ではまず、デスクトップPC上にFreeBSDおよび米国San DiegoスーパーコンピュータセンターのCAIDAプロジェクトで公開されているトラヒックモニタリングツールのCoralReefを実装し、ATMインタフェースカードを通して、広域トラヒックとしての学術情報ネットワーク(SINET)上のトラヒックデータの収集を行った。さらに、フリーソフトのTCPdumpを利用して、Ethernetのインターフェースを通して、ローカルネットワーク上に流れるトラヒックに対しても観測を行った。 観測されたトラヒックデータに対して統計解析を行った結果、広域トラヒックでも、ローカルネットワーク上のトラヒックでも、長い時間スケールにおいて比較的強い相関性をもち、すなわち、いわゆる自己相似性(Self-Similarity)や、長期依存性(Long-Range Dependence)が確認されている。また、ネットワークの負荷が高い状態では、キューイング遅延が著しく大きくなり、このような特性の品質に対する影響が大きいことが実データを使ったシミュレーションによって確かめられた。この結果については学会などで発表した。 さらに、記録された個々のパケットの到着時間、およびヘッダー情報に基づき分析を行い、インターネットに流れるトラヒックのファイル長の分布を推定した。その結果、裾野の長い分布であることがわかり、ロングテールやヘビーテールな分布であるLog-NormalやPareto分布に近いことが実証された。このようなファイル長の分布は、トラヒックの長期依存性ができる原因の一つであることが考えられる。 今後、観測されたトラヒックデータを利用して、品質制御のための検討を進めると同時に、Gigabit Ethernetインターフェースを利用したより高速なネットワークのトラヒックモニタリングを行っていく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 計 宇生: "トラヒック規制の効果とサービス品質に対する影響に関する検討"NII Journal. 第2号. 1-8 (2001)
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[Publications] 阿部俊二, 藤野貴之, 計宇生, 松方純, 浅野正一郎: "学術情報ネットワークにおける自己相関トラヒックの解析"インターネットコンファレンス2001論文集. 151-158 (2001)
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[Publications] 計 宇生: "情報流通プラットフォームにおけるQoS保証のためのトラヒック制御"NII Journal. 第3号. 23-33 (2001)
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[Publications] K.Ono, S.Satoh, F.Andres, Y.Ji, N.Katayama: "Creating a Global Multimedia Repository Framework for Cultural Heritage with Advanced Information Technology"Proc. Tokyo Symposium for Digital Silk Roads. (2001)
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[Publications] 滝田大介, 計宇生, 浅野正一郎: "MPLSトラヒックエンジニアリングにおける複数経路の設定方法とバランシングに関する検討"電子情報通信学会技術研究報告. NS2001-247. 171-176 (2002)
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[Publications] 藤野貴之, 上岡英史, 阿部俊二, 計宇生, 松方純, 山田茂樹, 浅野正一郎: "学術情報ネットワークへのIPv6導入と今後の展開"電子情報通信学会技術研究報告. NS2001-253. 217-222 (2002)