2002 Fiscal Year Annual Research Report
水素・ヘリウム混合プラズマ照射によるタングステン材料表面特性変化の評価
Project/Area Number |
13680567
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大野 哲靖 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (60203890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上杉 喜彦 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (90213339)
高村 秀一 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40023254)
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Keywords | 核融合 / プラズマ / ダイバータ / 高融点金属 / タングステン / 照射損傷 / 水素 / ヘリウム |
Research Abstract |
次世代核融合実験炉として期待される国際熱核融合実験炉(ITER)においてタングステン(W)はその熱特性、低い水素吸蔵特性によりプラズマ対向壁材の候補としてあげられている。ダイバータプラズマの低温高密度化に伴い、「低エネルギー・高粒子束」プラズマ照射による材料損傷についての理解が求められるようになった。本研究では水素プラズマ、ヘリウムプラズマをWに照射し、材料表面の構造変化とWのガス吸蔵特性について調べた。 A.Wへの水素プラズマ照射 水素プラズマ照射後のW試料(イオンエネルギー45eV)では、表面に大きいもので数百μmほどのブリスターの形成が多数見られる。大きなブリスターの上に小さいブリスターの形成が見られたものもあった。TDS水素放出スペクトル解析では、700Kから1000K辺りまで定常的にガスの放出が見られた。 B.Wへのヘリウムプラズマ照射 表面温度1500K以上、照射量が〜10^<26>/m^2以上になると表面に多数のバブルが形成される。また入射イオンエネルギー変化させて照射実験を行ったところ、入射イオンエネルギーが5eV程度以下では高照射領域でもバブルの形成は著しく減少した。Heバブルの形成にはまずHeがW内へ進入し、拡散等によって集積することが必要である。HeがW内へ進入するためには6eV程度の表面ポテンシャル障壁を乗り越えなければならない。実験結果もバブル形成に関する入射イオンエネルギーの閾値は5eV前後に存在することを示唆しており、W表面ポテンシャルエネルギーと密接に関わっていると結論付けることができる。また、入射イオンエネルギーが15eV程度のヘリウムプラズマを照射したW試料のTDSヘリウム放出スペクトル分析により、Heが材料内に進入していることが明らかになった。 入射イオンエネルギー25eV、照射量1.8×10^<26>m^<-2>で照射温度がそれぞれ2000K、1600Kと異なる2つの試料の透過型電子顕微鏡写真を比較したところ、照射温度が高いほうがバブルの大きさが大きいことが分かった。これは、温度が高くなれば指数関数的に熱空孔の数が増加し、Heやバブルが移動しやすくなるため集積が促進されバブルが大きくなると考えられる。
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[Publications] D.Nishijima, M.Y.Ye, N.Ohno, S.Takamura: "Incident ion energy dependence of bubble formation on tungsten surface with low energy and high flux helium plasma irradiation"Journal of Nuclear Materials. Vol.313-316. 97-101 (2003)
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[Publications] Y.Hagino, N.Ohno, S.Takamura, M.Y.Ye: "Experimental evaluation of space charge limited emission current from tungsten surface in high density helium plasma"Journal of Nuclear Materials. Vol.313-316. 670-674 (2003)
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[Publications] M.Y.Ye, H.Kanehara, S.Fukuta, N.Ohno, S.Takamura: "Blister formation on tungsten surface under low energy and big flux hydrogen plasma irradiation in NAGDIS-I"Journal of Nuclear Materials. Vol.313-316. 72-76 (2003)