2002 Fiscal Year Annual Research Report
地層処分緩衝材の長期健全性に及ぼすセメント及び鉄腐食生成物の影響に関する基礎研究
Project/Area Number |
13680584
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小崎 完 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60234746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正知 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40117122)
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Keywords | 放射性廃棄物 / セメント / ベントナイト / 鉄腐食生成物 / 地層処分 / 拡散 |
Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物の地層処分における、ベントナイト緩衝材の長期健全性を評価するための基礎的研究として、処分後長期経過後に緩衝材であるNa型ベントナイトに起こると考えられる緩衝材の変質反応に関する基礎的研究を行った。このうち、炭素鋼製のオーバーパックの腐食による鉄型化反応については、昨年度に調製した鉄型モンモリロナイトならびに鉄型モンモリロナイトを酸化させた試料中の鉄の化学形態を、選択的逐次抽出法によって調べた。その結果、(1)鉄型モンモリロナイト中のFe(II)はその95%以上が交換性の陽イオンとして存在していること、(2)試料を大気中で酸化させると、交換性陽イオンであるFe(II)は35%まで低下すること、(4)酸化によって交換性陽イオンは非晶質遊離鉄として析出すること、(5)酸化による、結晶遊離鉄の増加はわずかであること、等を明らかにした。 一方、セメント溶解反応に伴うベントナイトのCa型化に関する研究として、ベントナイト中のセメント溶解反応の素過程の検討を行うとともに、Ca型化への進行速度を評価する上で不可欠な、Na型とCa型が混在したベントナイト中でのCaイオンの拡散実験を行い、異なるNa/Ca比の試料中での見かけの拡散係数を求めた。その結果、Caイオンの見かけの拡散係数に及ぼすNa/Ca比の影響は小さいこと、また見かけの拡散係数の温度依存性より求めた拡散の活性化エネルギーにおいても、顕著なNa/Ca比の影響がないことを明らかにした。これは、活性化エネルギーに大きな変化が認められたCsやNaイオンの場合と異なっている。この点についてはさらなる検討が望まれる。
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