2001 Fiscal Year Annual Research Report
CR-39検出器中潜在飛跡形成機構における酸素の役割
Project/Area Number |
13680590
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Research Institution | 神戸商船大学 |
Principal Investigator |
山内 知也 神戸商船大学, 商船学部, 助教授 (40211619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 啓二 神戸商船大学, 商船学部, 助教授 (40169305)
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Keywords | 固体飛跡検出器 / CR-39検出器 / 潜在飛跡 / 赤外線スペクトル / FTIR / トラック化学 / 酸素効果 / 照射損傷 |
Research Abstract |
CR-39プラスチック飛跡検出器の分子構造に及ぼすイオン及びガンマー線照射効果を、紫外-可視分光、赤外分光、ラマン分光等の分光学的手法で系統的に評価している。赤外分光による一般的な結果としては、照射によってCO_2が発生すること、そしてOH基が生成されることが見出された。これらは、CR-39プラスチックの主鎖にある、カーボネイトエステル結合部が切断された結果と考えられる。C=0基やC-0-C基の吸収は非常に強いため、それらの密度変化を透過法で直接測定するためには10μm程度の薄膜が必要であることが判明したが、市販品としての購入は今のところ不可能である。そこでATR法を用いて赤外スペクトルを求めたが、Cイオン照射においてはフルエンスの増加とともにC=0基やC-0-C基密度が低下する様子が観察された。そのフルエンス依存性からトラックの径方向広がりは数nm程度であるとの結果が得られたが、これは紫外-可視分光スペクトルのフルエンス依存性から評価した値とよく一致する結果であった。ATR法では表面から数μmまでの部分を分析することになるが、CO_2の密度については、Cイオンの場合にはイオン照射後に大気中に取り出した後の時間とともに低下し、約30分の後には検出されなくなることが見出された。一方、プロトンの場合には数時間の後にも明瞭な吸収ピークが測定された。これはイオントラックに沿ったCO_2の移動度の差異に起因する現象と考えられた。照射後の真空中での測定はラマン分光によって行ったが、照射によって蛍光散乱が強くなること、-CH2-基密度は大気リーク後に初めて低下することが見出された。CR-39検出器のレスポンスは酸素の影響を強く受けることが知られているが、これら振動スペクトルに対すも大気リークの影響も大きいこと明確になった。ラマンスペクトルによって得られる情報は-CH2-基密度にほとんど限られてしまうので、新たに加速器ビームラインに赤外線分光装置を設置し現在調整を進めている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Yamauchi, S.Takada, H.Ichijo, K.Oda: "Raman and near-IR study on proton irradiated CR-39 detector and the effect of air-leak on damage formation"Radiation Measurements. 34. 69-73 (2001)