2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680595
|
Research Institution | Tohoku Univtrsity |
Principal Investigator |
川村 宏 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40169769)
|
Keywords | 三陸沖暖水塊 / 短期海洋変動 / コンター力学モデル / 高解像度衛星海面水温 / 黒潮 / 親潮 |
Research Abstract |
三陸沖の海域は、優勢な黒潮と親潮がぶつかり合う海域で、多くの暖水塊が発生し、複雑な様相を示すことで知られている。その特徴により、この海域は混乱水域と呼ばれることがある。一方、この海域は多くの回遊魚の集まる場所でもあり、世界でも有数の漁場が形成されるので、日本の水産業にとって大変重要な海域である。本研究の目的は、衛星海面水温観測・海面高度観測と数値モデルを合わせ用いて、三陸沖の暖水塊の短期変動を予測するシステムを開発することである。 まず、1990-1998年の間に受信されたNOAA衛星データを処理し、毎日4-6シーンの高解像度海面水温画像の時系列を作成した。これらを詳細に調べることにより、今回の予測の対象となる92例の短期変動現象を抽出した。さらにこれらの事象のすべてについて、コンター力学モデルを用いた再現実験を行い、よく再現できることを示した。三陸沖の海域は、暖水塊の発生海域であると同時に西方伝搬する暖水塊が集積し、その分布の高密度域になっている。海況が複雑になる要因は、この高密度暖水塊の相互作用による短期変動現象の活発化にあることが分かった。 次に、海面高度計のデータと高解像度海面水温画像を解析し、短期変動現象の主役である暖水塊の海面高度・流速を推定する手法を開発した。 これにより、海面水温画像から得られる水温フロント位置と海面高度計データから得られる渦位場を初期値とし、コンター力学モデルを用いて、2-3週間の期間についてフロント位置(暖冷水塊の配置)の変動を予測するシステムを開発するための基礎が確立した。
|