2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本の干潟に生息する巻貝類とそれに寄生するセルカリア類の動態解析
Project/Area Number |
13680604
|
Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
原田 正和 香川医科大学, 医学部, 助手 (90127580)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村主 節雄 香川医科大学, 医学部, 助教授 (00032897)
|
Keywords | 河口 / 干潟 / 巻貝 / セルカリア / 汚染 / 指標生物 |
Research Abstract |
1980年代後半、香川県の河口部には、主にフトヘナタリ、ウミニナ、、ホソウミニナが生息していたが、ヘナタリは発見できなかった。これら3種の巻貝に、主に5種類のセルカリアが寄生していた。Cercaria sp.1はフトヘナタリのみから見つかり、しかもすべての河川のフトヘナタリに寄生していた。C. shikokuensisは柞田川、土器川、金倉川のフトヘナタリ、鴨部川のホソウミニから見いだされ、特に土器川では年間を通じて30%以上の高い寄生率を保持していた。C. lanceolataは柞田川、金倉川のフトヘナタリと鴨部川のホソウミニナから見いだされ、C. yamagutiiは金倉川のホソウミニナ、ウミニナと鴨部川のホソウミニナに寄生していたが、寄生率の年間変動は大きかった。また、Cercaria sp. 5は鴨部川のホソウミニナからのみ見いだされた。 この当時の巻貝類の分布の様相を見ると、比較的自然の残った、堰のない小河川に生息しており、河川改修や堰の存在が巻貝類の生存に影響しているのではないかと想像された。 今年度改めて、香川県内河口部の巻貝類の調査を行なったが、前回の1980年代後半に較べて、河口の底質環境の変化が著しく、上記3種の巻貝類の生息数は大きく減少していた。 香川県と比較するため東京湾三番瀬、名古屋湾藤前干潟においても上記巻貝類の生息調査を行ったが、いずれの地点も0個体/m^2であった。また、水質汚染との関係を見るため水質を測定した。全シアン、カドミウム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、亜鉛は、東京湾、名古屋湾とも測定限界以下であったが、その他の項目はそれぞれ、COD3.7(mg/l)、4.6、全窒素1.54、1.77、全リン0.133、0.186、フッ素0.59、0.57であった。この内特に、全窒素、全リンの値は基準値を上回っていた。 今後、底質環境を含めた環境条件と巻貝類、セルカリア類との関係を、更に詳しく解析する。
|
-
[Publications] M.Harada: "A histochemical study of the secretory gland cells of Cercaria shikokuensis and their role during development from cercaria to metacercaria"Parasitol. Int.. 50. 149-156 (2001)
-
[Publications] M.Harada: "Superoxide-dependent and-independent pathways are involved in the transmission blocking of malaria"Parasitol. Res.. 87. 605-608 (2001)
-
[Publications] 原田正和: "吸血性ベクターのPCRによる吸血源同定法の研究-各種動物DNAのPCRによる鑑別-"Med. Entomol. Zool.. 52(2). 158 (2001)
-
[Publications] M.Owhashi: "The role of saliva of Anopheles in infiammatory response : identification of a high molecular weight neutrophil chemotactic factor"Parasitol. Res.. 87. 367-382 (2001)