2001 Fiscal Year Annual Research Report
衛星観測データによる黄砂エーロゾルの移流拡散とその特性評価に関する研究
Project/Area Number |
13680611
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
日下 迢 金沢工業大学, 工学部, 教授 (20064454)
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Keywords | 黄砂 / 黄砂雲 / 黄砂光学的パラメータ / 長距離輸送シミュレーション / 偏光度観測 / 大気エーロゾル / POLDER衛星画像 / ECMWF |
Research Abstract |
本研究では、東アジアを中心に、衛星データと黄砂の長距離輸送シミュレーションを併用することにより、黄砂エーロゾルの広域の時・空間分布とその特性(サイズ分布、屈折率、オングストローム係数)を抽出するアルゴリズムを検討する。 本年度は以下の2点について研究した。 (1)黄砂の移流拡散を長距離輸送シミュレーションにより黄砂長距離輸送機構を評価する。 (2)地上観測による大気偏光度の解析 (1)の成果:ECMWF(European Center of Medium-Range Weather Forecasts)に与えられている風データを基に、黄砂観測地点から逆に長距離輸送シミュレーションを行うことにより、黄砂発生地点・時間を推定し、その後、その発生地点から再度黄砂の輸送シミュレーションを行うシステムを構成した。その結果、1)黄砂が石川県で観測された1997年4月13,14日の黄砂発生源は中国北京の北部のモンゴル高原であることが見出された。また、2)1997年4月13日に衛星観測されたADEOS/POLDERデータにみられる薄い雲の分布はシミュレーションから得られた濃度分布パターンとよい一致が見出された。 (2)の成果:黄砂の偏光度の波長依存性を調べるために、偏光観測機器PSR1000で大学構内(石川県金沢市)のビル屋上より偏光度を測定している。2000年と2001年において、黄砂飛来日に観測されたデータとそうでない日に観測された偏光データの差異を調べた。その結果、1)黄砂飛来日に測定された偏光度は可視・近赤外波長帯すべてにおいて黄砂が飛来していない日の偏光度より低いことが分かった。また、2)黄砂飛来日(2000年4月9日)とそうでない日(2000年3月18日)の黄砂の光学的特性を放射伝達式を用いて推定した。黄砂飛来日においては、550nm波長の黄砂の光学的厚さt(550)=0.6、屈折率N=1.55、サイズ分布(Junge power-lawの指数)a=4と推定され、飛来日ではない日においては、t(550)=0.35,N=1.35,a=4.5と推定された。
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[Publications] T.Kusaka: "Estimation of Optical Parameters of Yellow Sand Dust Clouds over Desert Areas from Satellite-level Data"IEEE PROC of IGARSS2001, CD-ROM. (CD-ROM版). (2001)
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[Publications] T.Kusaka: "Estimation of Optical Parameters of Yellow Sand Dust Clouds over Land Surface"黄砂の衛星画像解析,黄砂解析鹿児島グループ. 29 (2001)
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[Publications] 佐藤史隆: "地上観測による黄砂偏光データの解析"日本リモートセンシング学会第31回学術講演会論文集. 143 (2001)
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[Publications] 森秀平: "陸域における黄砂雲の光学的パラメータの推定"日本リモートセンシング学会第31回学術講演会論文集. 69 (2001)
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[Publications] 呼子敬明: "黄砂の空間的分布の推定"日本写真測量学会秋季学術講演会発表論文集. 21 (2001)