2002 Fiscal Year Annual Research Report
山火事が生態系におよぼす影響とその跡地の修復に関する研究
Project/Area Number |
13680622
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
津田 智 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教授 (50212056)
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Keywords | fire / vegetation / succession / seedling emergent |
Research Abstract |
平成14年度は,関東・東北を中心に比較的大規模な山火事が発生したので,その跡地の調査を実施した.長野県松本市浅間温泉のアカマツ林焼失地では,ミズナラ,スゲ類,ワラビなどが栄養繁殖し,ツクシハギなどの種子繁殖個体も出現したが,全体にまばらで44個体/程度の密度にとどまった.一方,宮城県丸森町ではチヂミザサ,チゴユリ,アズマネザサなどが栄養繁殖し,ツクシハギやクマイチゴなどの種子繁殖個体も多かったため,密度は420個体/に達した. 岩手県久慈市の1983年の火事跡は19年を経過し,コナラ,ミズナラ,マルバアオダモなどの二次林に発達している.今年度に調査を実施した場所は焼失以前からコナラなどの落葉広葉樹二次林で,平成15年度はアカマヅ林が焼失した場所の現在の植生を調査する予定でいる. 北海道富良野市の東京大学北海道演習林内の古い火事跡(1914年焼失)で,平成13年度に実施した樹木調査および植生調査の成果を論文にまとめ投稿していたが,平成14年12月発行の植生学会誌第19巻2号に掲載された.火事直後から優占していたウダイカンバやシラカンバは後継樹が欠落しているため,植生が遷移していくとミズナラやハリギリなどの落葉樹にトドマツやアカエゾマツなどの針葉樹を含む針広混交林に変化していくことが予想された. その他,火が植生に与える影響を調べるために,渡良瀬遊水池などで温度を主体とする環境の測定を開始した.
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