2003 Fiscal Year Annual Research Report
山火事が生態系におよぼす影響とその跡地の修復に関する研究
Project/Area Number |
13680622
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
津田 智 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教授 (50212056)
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Keywords | 山火事 / 植生 / 遷移 / 火生態学 |
Research Abstract |
平成15年度は,比較的大規模な山火事が発生しなかったので火事直後の調査は実施せず,火事から長い期間が経過した火事跡の調査のみを実施した. 岩手県久慈市における1983年の山火事の焼失地で平成14年度に引き続き植生の調査を実施した.落葉広葉樹林が焼失してから20年を経過し,再生林もすでに高さ10mほどまで回復していた.おもな林冠の構成種はコナラ,ミズナラ,クリ,ハクウンボク,カスミザクラ,イタヤカエデなどの落葉広葉樹で,焼失前の森林と同様の組成と構造になっていた.ほとんどは火事で焼死した幹の基部からの萌芽枝が生長したもので,いわゆる「株立ち」の樹形になっていた.また,焼失前の森林の林床に出現していて火事の直後には姿を消していたトリアシショウマ,チゴユリ,ツルウメモドキ,ヤマカシュウなどの林床植物も,再び山火事再生林の林床に出現するようになっていた. 瀬戸内地方の来歴のわかっている火事跡の調査を実施した.岡山県日生町(1988年焼失),広島県竹原市(1994年焼失),岡山県玉野市(1994,1995年焼失),広島県安浦町(1997年焼失),広島県尾道市(2002年焼失),広島県生口島(2002年焼失),岡山県備前市(2002年焼失)などの火事跡に出かけ,現在の状況を調べた.2002年の火事跡ではまだ復旧工事がおこなわれていないところが多かったが,それ以前の火事跡では斜面に段をつくり,樹木の植栽をおこなっているところが多かった.したがって,自然の遷移にまかされている焼失地はほとんどなく,火事跡植生の修復過程の調査には適さない場所が多かった.
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