2002 Fiscal Year Annual Research Report
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13680631
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
冨安 卓滋 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (60217552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 隆介 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40284864)
宮本 旬子 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40244222)
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Keywords | 水銀の環境影響 / 桜島火山 / 大気中水銀 / セイタカアワダチソウ / 海洋底質 |
Research Abstract |
1.大気中水銀の挙動を明らかにすることを目的とし、1999年7月〜2001年12月まで継続して鹿児島市大気中水銀の追跡を行い、大気中水銀に影響を与える環境要因について詳細に検討した。さらに、地上3mおよび12mの2点における大気中水銀の経時変化を追跡し、気温変化および種々の気象条件の変化による大気中水銀の詳細な挙動を明らかにすると共に桜島の影響を明確にした。 2.周辺環境から植物への水銀の取り込み経路を明らかにする事を目的とし、日本に広く分布するセイタカアワダチソウ(Solidago altissima L)を対象に選び、植物体内における水銀の分布について検討した。葉、茎、根及び土壌中総水銀濃度を測定したところ、茎の水銀濃度は、葉、根に比べて明らかに低かった。葉の水銀濃度は下部ほど高くなる傾向があったが、土壌との相関はなかった。一方、土壌と根の総水銀濃度の間には正の相関が見られ、土壌から根に取り込まれた水銀はほとんど移動せず、葉の水銀は主に大気から取り込まれることが示唆された。 3.桜島火山活動と密接に関わりがあると考えられる鹿児島湾海底噴気活動によって放出される水銀の周辺影響について検討した。まず、海洋底質中水銀の化学形を評価するための分別抽出法について検討を行い、底質中における有機錯形成水銀の定量法を確立した。さらに、鹿児島湾の全域52点から柱状に試料を採取し、鹿児島湾底質中総水銀濃度を測定するとともに、開発した方法を用いて分別定量を行い、水銀の三次元分布及び化学形評価を行った。その結果、噴気孔周辺底質中水銀濃度は噴気活動の消長を反映し鉛直変動を示すこと、湾北部底質中水銀は主に海底噴気孔に由来していることが示された。また、噴気孔周辺底質では有機錯形成水銀が高い割合で存在することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 江口 朋美: "分別抽出/還元気化冷原子吸光光度法による鹿児島湾及び水俣湾底質中の水銀の化学形評価"分析化学. 51・9. 859-864 (2002)
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[Publications] T.Tomiyasu: "Vertical variations in the cncentration of mercury in soils around Sakurajima Volcano, Southern Kyushu, Japan"the Science of the Total Environment. (in press).