2001 Fiscal Year Annual Research Report
水生昆虫を用いた遺伝子発現による環境ストレス評価に関する研究
Project/Area Number |
13680633
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
三浦 卓 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (70013323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅谷 芳雄 国立環境研究所, 地域環境グループ, 主任研究員
吉見 立也 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (30277256)
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Keywords | 環境影響評価 / ユスリカ / 遺伝子発現 / 底泥中化学物質 |
Research Abstract |
日光市湯元で採取したセスジユスリカ、Chironomus yoshimatsuiは、有機リン系、カーバメイト系、ピレスロイド系殺虫剤に高感受性であり、国立環境研究所で継代飼育されている。ユスリカの幼虫は、底泥中に生息し底泥中の環境ストレスの影響評価に利用できる可能性がある。殺虫剤高感受性のユスリカを水槽中で通気しながら養魚用の餌で飼育し、幼虫を用いて以下の研究を行った。 1)ストレスタンパク質遺伝子の検索 これまでに野生のユスリカ幼虫から調製したRNAを用いて構成型hsp70遺伝子のcDNAを分離し、殺虫剤耐性株ではhsp70遺伝子の発現が増加していることを明らかにした。さらに環境ストレスを総体として鋭敏に評価するマーカーを開発するために、誘導型hsp70遺伝子について他の生物種の遺伝子の塩基配列をもとにprimerを設計して、RT-PCR法により熱処理により発現する遺伝子のcDNAを調製した。このcDNAをprobeとして用いて熱処理したユスリカのRNAについてNorthern blot分析を行い、遺伝子発現が増加していることを明らかにした。 2)殺虫剤処理により発現する遺伝子の検索 有機リン系または合成ピレスロイド系殺虫剤に殺虫剤高感受性ユスリカを24時間暴露した。これらの殺虫剤暴露ユスリカのRNAを用いて殺虫剤暴露により発現が増加する遺伝子をRT-PCR法により増幅し、cDNAをPAGEにより分離精製した。これらのcDNAの塩基配列から遺伝子がコードするタンパク質の機能を推定した。また、これらのcDNAをprobeとして殺虫剤を暴露したユスリカのRNAを用いてNorthern blottingを行い殺虫剤暴露ユスリカから分離したcDNAの遺伝子の発現が増加していることを確認した。殺虫剤暴露に対する特異的な生物的指標となる可能性を明らかにした。
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Research Products
(1 results)