2003 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能衛星を利用した有毒アオコ発生予察に関する研究
Project/Area Number |
13680654
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
渡辺 真利代 立正大学, 地球環境科学部, 教授 (70301835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 智昭 国立薬品食品衛生研究所, 研究員 (70312022)
後藤 真太郎 立正大学, 教授 (80247436)
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Keywords | アオコ / 植物プランクトン / 光合成色素高速液体クロマトグラフィー(HPLC) / リモートセンシング / 地理情報システム / バイオマス |
Research Abstract |
アオコ形成シアノバクテリアの中には、哺乳動物に致死作用を持つ有毒化合物を生産する種類があり、人体への影響も懸念される。従って、アオコの発生をできるだけ初期の段階からモニタリングし、その発生を予測することは、その水界の富栄養化の進行を抑制する上で非常に有用でありまた不可欠な情報を提供することになる。本研究においては、衛星画像および航空写真によって、湖沼表面水の呈色変化をまず植物プランクトン全体の現存量の分布との関連で解析し、さらに、優占する植物プランクトンの違いが画像上にもたらす変化を解析することによってアオコ形成種の分布を把握しようとするものである。 先ず、衛星画像および航空写真による湖沼表面水の呈色変化をまず植物プランクトン全体の現存量の分布との関連付けるため、付随光合成色素の分析法の検討後、検証データとして、アオコ発生湖沼おける湖沼調査を行い、クロロフィルa及び付随色素の分布および優占種および毒素の分布を把握した。本研究では純粋培養された植物プランクトンと現場の植物プランクトンの脂溶性光合成色素を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。HPLCによって得た培養された各藻類綱のクロロフィルaと光合成色素のクロマトグラムからピークの比を求め,その比が同藻類綱では変わらないという仮定をした。その仮定のもとクロマトグラムピーク比から現場の植物プランクトン組成を見積もることができるかを考察した。現場の植物プランクトン組成は顕微鏡観察によって確認を行った。その結果,クロマトグラムのピーク比から植物プランクトンを定量的に見積もることはできなかった。クロマトグラムのピーク比は,各藻類綱につき1種のみの植物プランクトンから計算されたピーク比であるため,各藻類綱のピーク比として仮定するには適さなかった。また藍藻綱特有の水溶性色素であるフィコシアニンを測定し,クロロフィルaとの関係を考察した。その結果フィコシアニンとクロロフィルaとの間には良い相関が見られ,藍藻綱がダム湖において,かなりの割合を占めることが推測された。顕微鏡観察によっても藍藻綱の優占が確認された。 一方、GISを用いて土地利用や社会・経済活動状況の変化が水質にどのような影響を及ぼすかを特定するため、総窒素・総リン流出負荷について,奥多摩湖流入負荷量と集水域の土地利用及び人間活動との関係について重回帰分析により評価した.アオコの発生要因とこれらのパラメータとの関係を特定し、衛星画像を用いて面的に拡張する予定であったが、代表者の逝去により両方の結果を付け合せた検討が出来なかった。
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Research Products
(1 results)