2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680667
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐上 博 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (10134058)
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Keywords | ポリプレノール / ドリコール / ポリプレニル酸 / ドリキル酸 / 脂質油滴 / アポトーシス / HL-60 cells / 3T3-L1 cells |
Research Abstract |
シスイソプレン鎖延長酵素触媒を受けて合成され、疎水性炭化水素のポリマー骨格を持つドリコールとポリプレノールは、糖タンパク質合成やペプチドグリカン合成での糖担体脂質分子として機能する。ラット胸腺細胞でC20ポリプレノールからの代謝物がC20ドリキルカルボン酸であったことから、さらに詳細な研究を試みた。 ヒトHL-60細胞でもC20ポリプレノールからC20ドリキル酸が容易に代謝物として検出され、時間経過に伴って蓄積傾向を示した。 C20ドリキル酸は、0.1%血清存在下15μMでアポトーシスを誘導した。カスパーゼ3阻害剤を共存させるとアポトーシスは抑制され、Nile Redで染色される脂質油滴が検出された。10%血清存在下アポトーシス誘導は観察されず、40μM以上の濃度で同様の脂質油滴が検出された。アシルCoA合成酵素阻害剤を共存させると脂質油滴生成は抑制され、少なくとも20%の細胞にアポトーシスが誘導された。前脂肪細胞3T3-L1細胞に対しても10%血清存在下で油滴形成を誘導した。 C20ポリプレニル酸の場合、0.1%血清下15μMでアポトーシスを引き起こしたが、10%血清下で脂質油滴を誘導することなく、HL-60細胞を好中球に分化させた。 総合して、C20ドリキル酸とC20ポリプレニル酸による作用結果の違いが見られたことは、ドリコールとポリプレノールの担体脂質としての作用結果の違い(糖タンパク質あるいはペプチドグリカン)が見られることと一致する。動物の場合と異なり、植物ではドリコールをうわまる量のポリプレノールが検出される。この事実は、ポリプレノールの新たな機能を予想させる。少なくともポリプレノール合成を司るシスイソプレン鎖延長酵素系がドリコール合成を司る酵素系とは異なって制御されていると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Wojtas, M.: "Polyisoprenoid Alcohols from The Mushroom Lentinus edodes"Chemistry and Physics of Lipid. (in press). (2004)
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[Publications] 佐上 博, 古山種俊: "21世紀科学シリーズ4、生命化学 (分担)"朝倉書店(2004年発行予定).